(2019/12/27 05:00)
鉄鋼業界はじめ製造業各社は、老朽設備の更新や防災対策など、必要な設備投資が遅れることのないように、万全を期してもらいたい。
大手鉄鋼各社が、設備投資の縮小を相次いで表明した。世界経済の落ち込みによる事業環境の悪化を踏まえ、経営資源の配分で選択と集中を徹底し、優先度が低い投資案件をいくぶん先送りするという。
高い収益性や成長性が見込める分野に投資を重点化して資本効率を高めることは、企業に対する資本市場の要請でもある。ただ、韓国や中国などの新興企業に比べて、日本の製鉄所には年季が入った設備が多く、改修や更新の遅れは、生産効率の低下につながる。
最近は老朽化が原因とみられる故障も増えており、対策が急がれる。台風や地震などから事業所を守るための防災基盤整備も重要課題となる。
何を優先し、何を先送りするかの判断は、慎重を期す必要がある。経費節減に傾注するあまり、設備の老朽化対策や、激甚化する自然災害への対応策が遅れれば本末転倒だ。
設備投資を縮小する動きは、他の業界にもある。日銀がまとめた12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の2019年度設備投資計画は、前年度比11・3%増と比較的底堅いものの、9月の調査結果に比べると0・4ポイント下がった。
内閣府の機械受注統計では、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」が、直近10月の季節調整値で前月比6・0%減と、4カ月連続で落ち込んだ。世界経済の減速が鮮明になった夏場以降、どの業界でも総じて抑制傾向が強まっている。鉄鋼業界だけでなく国内製造業全般で、設備投資意欲が減退しつつあるのは明らかだ。
だが、設備の老朽化や頻発する自然災害への対応を迫られている企業は、鉄鋼業界だけに限らない。モノづくり基盤の維持・強化は安定生産・供給の要だ。厳しい経営環境下であろうと、必要な投資まで怠ってはならない。
(2019/12/27 05:00)
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