(2020/1/29 05:00)
新型コロナウイルスによる肺炎の死者が28日、中国国内で100人を突破した。感染者数は4500人を超えたと報じられる。
やっかいなのは、発熱などの症状が出るまでの潜伏期間が10日間前後あることだ。自覚がない患者が移動することでウイルスはいとも簡単に“飛び火”する。中国政府は感染源と目される武漢市を事実上封鎖したが、すでに500万人が市外に流出したとの情報も。
安政5年(1858年)のコレラ拡大を記した『安政箇労痢(ころり)流行記』によると、6月に長崎で感染が確認され、8月に江戸で大流行して3万人が亡くなった。馬や徒歩が移動の主役だった時代でも数カ月で病気は広がる。航空機が飛び交う現代なら、国境を飛び越えるのはたやすい。
安政のコレラでは“妖怪の仕業”などの流言が民衆を惑わせた。今回の新型肺炎では、関西国際空港で見つかった発症者が逃走したというデマがネットで拡散した。大衆の不安な気持ちは今も昔も同じ。正確な情報を確認する冷静さが重要だ。
政府は武漢からの帰国用にチャーター機を複数回派遣する。情報から遠ざけられた在留邦人にとって朗報だ。しっかりした検疫態勢で帰国を迎え、ウイルスの安易な“飛び火”を防ぎたい。
(2020/1/29 05:00)