(2020/2/12 05:00)
「さいたま市岩槻人形博物館」(さいたま市岩槻区)が22日に開館する。約5000点の所蔵品から、公家の装束を忠実に模して作られた「有職雛(ゆうそくびな)」など、江戸から昭和までの作品約40点が常設展示され、日本文化に息づく人形の美と歴史を大観できる。
日本人形は出口の見えない低迷期にある。「昭和40年代は、『七草』、『桃』、『菖蒲』の節句を終えると、生活が成り立った」(業界関係者)。今では少子化や核家族化、住環境の変化などで需要が減り、廃業も珍しくない。
業界が期待をかけるのは、大人の雛祭り「菊の節句」(9月9日)。桃の節句で飾った雛人形を虫干しも兼ねて再び飾り、長寿の願いを込めた。「人生のご褒美にマイ雛人形を」と業界をあげて自分の還暦祝いに雛飾りをすすめている。
ユネスコ無形文化遺産の登録を目指す動きもある。「日本の節句文化を継承する会」(東京都台東区)は、和食の登録にあやかり「五節句を世界遺産に」と文化庁などに働きかけている。
雛人形は祖父母から孫への贈り物として人気を博し、家族をつなぐ絆だった。自分だけの時間をつくり、心を遊ばせるのもいい。日常の“忘れ物”を探しに博物館を訪ねてみてはどうか。
(2020/2/12 05:00)