(2020/3/2 05:00)
感染拡大の阻止が何よりの経済対策である。政府には苦しむ中小企業へのセーフティーネット拡充を求めたい。
安倍晋三首相は新型コロナウイルス対策で初めて会見し「国内感染防止にあらゆる手を尽くすべきだと判断した。政府の力だけでこの戦いに勝利することができない」と述べ、国民に協力を求めた。
今日から小中高校の休校が全国で始まる。人が集まるイベントの自粛、時差通勤や在宅勤務なども本格化し、国民生活や企業活動に大きな影響が及んでいる。急な対応を迫られる自治体の混乱も予想に難くない。
政府は影響への緩和策として、子どもの休校で休職する親への助成金制度の新設や、雇用調整助成金についてあらゆる業種に拡大し1月にさかのぼった活用、中小企業の資金繰り対策に5000億円分を支援などの措置を講じる。2019年度の予備費約2700億円を活用する第2弾の緊急対応策を、今後10日間程度でとりまとめると表明した。早期に効果的な執行を求めたい。
景気の悪化は避けられない情勢である。感染は世界規模で拡大しており、世界経済を下押しするのは間違いない。来年度予算案は衆議院を通過し自然成立が決まったが、感染対策に活用できる項目は前倒しし、不足なら追加の措置にも踏み出すべきだ。売り上げ急減に直面する中小企業の声を聞き、景気対策も練り直しが必要だろう。
感染拡大の抑止には、検査の拡充と治療薬の開発が不可欠である。産業技術総合研究所などが、既存のPCR検査より、短時間でウイルスを検出する手法を開発したのは朗報だ。治療薬もインフルエンザ治療薬「アビガン」など3種類が治験段階にある。
今後ウイルス検査への健康保険の適用と民間の検査機関の活用が始まると、検査数が増え感染者数も大幅な拡大が予想される。その時に混乱が起きないよう、心構えをしておきたい。政府も今後想定しうる事態について、国民に情報を提供し、不安払拭(ふっしょく)に努めてもらいたい。
(2020/3/2 05:00)
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