(2020/3/30 05:00)
株主は現経営陣を選択した。重い期待に報いるよう、経営陣は企業価値向上へ取り組まなければならない。
東芝機械の臨時株主総会が27日開催され、旧村上ファンド系投資会社シティインデックスイレブンス(シティ11)による株式公開買い付け(TOB)に対抗する買収防衛策の発動に関する議案が可決された。
東芝機械の買収防衛策は、村上ファンド系以外の株主に新株予約権を無償で割り当てるというもの。TOBが実施されても、新株で希薄化が進み、シティ11の保有割合を低下させることを狙った。
議案の可否の行方は、機関投資家が握ると言われてきた。一般的に企業統治の観点から、機関投資家は買収防衛策の導入には批判的で、ここ数年は多くの上場企業が、買収防衛策を廃止している。ただ、今回は海外の機関投資家や議決権行使助言会社の間でも、議案の是非について意見は分かれた。
シティ11側の主張は、株価上昇のみを狙い、東芝機械の企業価値向上へ具体的な提案はなかった。また、新型コロナウイルス感染症の流行で、東芝機械の株価が大幅に下落するや「東芝機械が120億円以上の自社株買いをすれば、TOBから撤退する」と要求した唐突な行動も、株主から「株価上げしか考えていない」と敬遠された。
世界の投資家が、株主至上主義から、企業の成長を長期的視点で判断し、株主、従業員、顧客、地域など幅広いステークホルダーも考慮するべきだという考えに移りつつある。昨今の新型コロナウイルスの世界的大流行で、世界中の企業や労働者が大打撃を受けており、その傾向はさらに高まるとみられる。
東芝機械の経営陣は、今回の株主の支持に安心することなく、よりスピード感ある経営で、事業の再構築に取り組まねばならない。シティ11は今後TOBを取り下げる見込みだが「当面株は保有し続ける」(福島啓修シティ11社長)方針。経営側と筆頭株主の立場で、真摯(しんし)に話し合い、共に企業価値向上に努めてもらいたい。
(2020/3/30 05:00)
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