緊急事態宣言/大手・中小、業種問わず対応迫る 「3密」回避を徹底

(2020/4/8 05:00)

  • モノづくりは社会を支える重要な使命を持つ(イメージ)

新型コロナウイルス感染症拡大を受けた緊急事態宣言は、大小、業種を問わず企業に対応を迫る。各社は在宅勤務や時差出勤、営業自粛などを拡大し、社員の「三つの密」回避の取り組みを強化する。一方、中小企業経営者から「モノづくりを止めことはできない」との声が挙がるように、社会インフラや生活に密接する製品の供給やサービス提供の継続は企業の使命。緊急事態下で難しいかじ取りを迫られる。(総合1参照)

キヤノンは7日から本社と神奈川県内の4事業所を臨時休業とした。ニコンは本社(東京都港区)や首都圏にある大井製作所(東京都品川区)など5カ所の製作所、緊急事態宣言の対象地域内の子会社の従業員について4月8日―5月1日まで原則在宅勤務を指示した。対象は計約6100人。製造拠点は現時点で通常通り稼働としている。

トーヨータイヤは8日から5月6日まで対象地域にある本社などグループの5事業所を一時閉鎖し、一部を除き社員は在宅勤務とする。花王は生産やロジスティクス部門を除く社員を出社禁止とし、在宅勤務社員が2万人を超える。

日本生命保険は対象地域の営業職員を原則として在宅勤務とし、内務職員も出社人数を半分程度に減らす。東京海上日動火災保険も対象地域の出社人数を半分程度に縮小する。日本生命は訪問営業を自粛。関西電力も顧客への訪問営業を原則休止し、電話対応へ切り替える。

亜木津工業(大阪府東大阪市、楠本光晴社長、06・4309・2212)は、8日から社外勤務が可能な営業部門などでテレワークを拡大する。電車や自動車の通勤者には時差出勤も導入する。小島一孫専務は「当社の製品は機械などの部品に必要で、今は食品・医療関連の注文が多く、モノづくりを止めることはできない」とする。一方、「受注はこれまでより約10%減っており、さらに減少する可能性はある」と警戒感も示す。

大日本住友製薬は8日から5月6日まで、宣言の対象となった東京本社(東京都中央区)と大阪本社(大阪市中央区)の従業員約900人に在宅勤務を適用する。医薬品の安定供給体制を維持するため、生産体制は変更せず通常操業する。

スイスのアデコグループの日本法人アデコ(東京都千代田区)は従業員の出勤管理を徹底する。7日から5月6日まで上長に許可を得た上での出勤に切り替える。経営層含めた約3000人を原則的に在宅勤務としていたが、これまでは自己判断のもと出勤していた。従業員の出勤を許可制にして感染拡大の防止と、発症した場合の濃厚接触場所などの迅速な経路特定につなげる。

(2020/4/8 05:00)

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