(2020/4/27 05:00)
日本発のデジタル革新戦略「ソサエティー5・0」を世界に発信し、理解を得る取り組みを深めていくべきだ。
ソサエティー5・0は、日本政府が少子高齢化や資源不足など、現実世界の課題をデジタル技術で解決する国家戦略として掲げる。経団連はソサエティー5・0が、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成につながると表明し支持している。
一方、企業の環境保全などの取り組みを投資判断の基準とする「ESG(環境・社会・企業統治)投資」が世界的な潮流となっている。世界有数の運用資産を保有する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、ESG投資へのシフトを明確にしている。
経団連と東京大学、GPIFが共同研究で、ソサエティー5・0とESG投資を結びつけることでSDGs達成へつながるとする報告書を作成した。報告書ではソサエティー5・0が実現すると、250兆円の成長機会が創出されるとの試算を提示。成長の担い手となる企業に、投資を呼び込むための情報開示を促している。ユニークな点はアンケートや自然言語処理を使い、投資家が評価する長期ビジョンの要素を抽出したこと。人工知能(AI)など技術革新が進むと、逆に「人を起点とする事業展開」が評価されることなどを例示した。
報告書作成の背景には、ソサエティー5・0の認知度がESGやSDGsに比べて低く、投資家に伝わっていないという反省がある。経団連など3者は今後、投資家や経済団体など世界への周知活動も進める。
新型コロナウイルス感染症は、世界が抱える行き過ぎたグローバル化や格差社会といった課題を露呈した。反省を踏まえESG投資は一層重視されるとの指摘もある。日本発のソサエティー5・0がSDGs達成につながることを、世界に発信することは、新たに構築される世界のあり方にも影響を及ぼすことになる。個々の企業もそうした視座のもとで、ソサエティー5・0への事業活動に取り組み、発信を強めてもらいたい。
(2020/4/27 05:00)
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