(2020/5/22 05:00)
新型コロナウイルスの経済対策で、国民1人当たり10万円が支給される「特別定額給付金」。総務省によると、全国約97%の市区町村でオンライン申請が始まっているが、給付が開始されたのは6割弱にとどまっている。担当者らは「短期決戦だ」と休日返上での対応に追われている。
自治体が頭を悩ませているのは、申請手続きをする政府のサイト「マイナポータル」での記入情報と、自治体が保有する住民基本台帳との照合作業だ。一括でできるシステムがない上、世帯主以外からの申請や別世帯の同居人の記入など間違いが多く、修正や確認に時間がかかっている。
18日から給付を始めた東京都品川区は約1万1600件の申請のうち、入金手続きができたのは680件にとどまる。目視で姓名の間の1字空けの有無や合併前の古い銀行口座番号での申請を1件1件修正。初日は約7割に不備が見つかり、1件も処理できなかったが、作業のルール作りや簡易プログラムにより、1日の処理数は350件になった。
いかに手作業を減らせるか。福岡市は、19日時点で約1万8000件のデータを銀行に持ち込めた。1日の処理件数は約3000件で、担当者は「手探りで始めたが、職員手作りの照合システムがようやく軌道に乗り始めた」と話した。
東京都江戸川区は修正を後回しにして、処理速度を上げている。17日までに、オンライン申請の1万5217件のうち約85%の入金手続きを終えた。ただ、残りは記入漏れや不備があり、修正や再申請の通知に時間がかかるという。
同区の郵送手続きは5月下旬に開始予定で、担当者は「オンラインは不備がなければ早いが、間違いがあれば大きく遅れる。余裕のある人は時期をずらして郵送で申請してほしい」と話した。
給付をめぐっては4月、政府方針が減収世帯への30万円給付から一律1人10万円に転換。ある自治体の担当者は「一日も早く届けたい一心だが、準備期間は短く、シミュレーションも一から考え直しだった。政治に振り回されている」と心情を吐露した。
申請のシステムについて、内閣府は「急いだ結果、時間がない中で利用者の利便性を優先した。自治体とやりとりしながら日々サイトを改善している」と説明している。
(2020/5/22 05:00)
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