(2020/6/17 05:00)
共感した他社が追随
中小企業も集まればできることがある―。大村ネームプレート研究所(川崎市中原区、大村仁志社長、044・522・3322)は、町工場3社と連携し銅製ドアオープナーを開発した。新型コロナウイルス感染症の影響の中、大村社長は社会貢献につながる製品を考案し、フェイスブックに製品案を投稿。すると製品化の要望が相次いだ。試みに共感した他社でも製品開発に乗り出すなど、町工場の独自製品開発が加速している。(川崎・大串菜月)
「コロナの影響で仕事が激減する企業もいる」(大村社長)。メダル製作などをする連携した町工場の1社、青谷製作所(東京都新宿区)は製品制作によりモノづくりの魅力を伝え、製造業の認知度を上げたいと思い立った。そこで大村社長と思いを同じくする経営者が集まり、同社と谷田部銘板製作所(同板橋区)、時吉工業(横浜市鶴見区)とともに「チーム町工場」を結成。製品開発を始めた。
町工場の技術を生かすことができ、感染対策となる製品としてドアオープナーに目を付けた。下請け業務中心だったメンバーにとって、自社製品は初。まずは製品の需要を知るためにフェイスブックで調査した。すると意見を求めた投稿に約2500件の“いいね”やシェアがついた。
「社会貢献したい、コロナに対する意識を高めたいという人たちと町工場ができることを考えたい」(大村社長)と、その後も消費者の意見を取り入れて製品の改良を進めた。
開発したドアオープナー「コロナに負けない手(で)!!」を用いることで取っ手などを触らずに扉の開閉ができ、ボタンを押すことやタブレット端末の操作もできる。素材には抗菌力の強い銅を採用。郵送で消費税、送料込み980円と安価に収めた。
これまでに約1200個の注文が来ているほか、医療従事者向けに1000個の寄付を予定。製品の改良も進める。
大村社長の熱意はフェイスブックを通して全国に広がる。投稿をみた山村工作所(神戸市西区)の山村正幸社長は「製品データが欲しい」とフェイスブック上で依頼。鉄に銅メッキを施すという異なる手法でいかり型のドアオープナーを開発し、ウェブショップで販売すると約600個の注文が来た。
大村社長はそれ以来、デザインデータなどをフェイスブックページに投稿。これまで5、6社からデータを利用したいと連絡があった。「同じ社会貢献の意欲を持つ町工場にも取り組んでほしい」(大村社長)と、モノづくりの魅力発信を続ける。
(2020/6/17 05:00)
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