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(2020/6/22 05:00)
「なぜ?」論理的に考える
(総合1から続く) 副作用に苦しみながら治療を受けている患者さんがいる。そのような内容を本で読んだことがきっかけとなり、医療に関わりたいと思うようになりました。2016年4月に患者さんに合った治療を見つける方法を学ぶため、東京大学大学院新領域創成科学研究科に進学しました。大学では人の血液に含まれる代謝物と疾患の関係についての研究に取り組みました。
キヤノンメディカルシステムズには18年に入社しました。現在は遺伝子やたんぱく質など生体内の化合物について研究しています。大学院時代に学んだ実験に関する知識や考え方が役立っています。
入社後の印象的なエピソードが一つあります。PCR法の実験をしていた時のことです。遺伝子が入っていないサンプルを検査したのに、遺伝子が“ある”という反応が出てしまいました。頭の中が「なぜ?」という言葉でいっぱいになり、先輩や上司に聞いてみたのですがよく分かりません。このような結果が出たことは今までなく困惑しました。
結局は空気中に浮遊している微小な物質に含まれる遺伝子がサンプルに混入したと結論づけました。確実な証拠はありませんが、状況から仮説を立てて推論してみるとそうとしか思えない。この経験から論理的に考えることの重要性を痛感しました。
入社した当初は寮の近くにあるプールによく通っていました。もともと体を動かすのが好きです。最近は新型コロナウイルスの感染拡大などもあって、あまり行けなくなってしまったので、代わりにランニングでもしたいなと思っています。(文・写真=森下晃行)
◇キヤノンメディカルシステムズ 研究開発センター先行技術研究部 岡崎仁美(おかざき・ひとみ)さん
(2020/6/22 05:00)