(2020/6/22 05:00)
【川崎】阿部機械製作所(川崎市宮前区、阿部義和社長、044・977・3637)は、雇用調整助成金の特例措置を使い、新型コロナウイルス感染症拡大による仕事量減少により生まれた空き時間を社員の教育機会に充てている。これまで品質管理や測定機器の取り扱いの講義を設けた。阿部社長は「こういう機会だから明るく仕事をやっていきたい」と、社員が前向きになれる工夫をしている。
阿部機械製作所は医療部品やシールドケースなどの精密部品の切削加工をする。取引先の需要が落ち込み、同社への受注も3月から徐々に減少していった。
雇用調整助成金は教育訓練を実施した企業に助成金が加算される特例措置がある。そこで阿部社長は、普段は仕事に追われてできていなかった教育機会を設けることにした。従業員の要望も受け、初回の5月26日は国際標準化機構(ISO)や品質管理への理解を深めるため外部の講師を招き、従業員全員が作業を止めて終日講義を受講した。
6月4日には2019年度に入社した新入社員2人を対象に、社内の大手測定機器メーカー出身の講師が測定機器の取り扱いを教えた。各講義には上級者向けなども設定。今後は従業員の意見も参考に、CAD/CAMなどの講義も検討している。
残業代が減ったことで落ち込む従業員もいたが、少しずつ会話も増えてきた気がするという。阿部社長は「コロナ収束後に応用できるような教育プログラムも作れれば」としている。
(2020/6/22 05:00)