(2020/6/29 05:00)
茨城県内の中小製造業がチームを組み、新型コロナウイルス感染防止のため独自製品を開発する動きが広がっている。中山工業(土浦市)とアールビー(同)は肘や腕でドアを開閉できる器具を共同で開発。県内中小11社で組織する共同受注体「GLIT(グリット)」は足踏み式の消毒スタンドをつくった。金属加工の技術などを生かした商品を地元に提供し、地域の感染防止対策に貢献するのが狙いだ。(茨城・陶山陽久)
中山工業・アールビー、肘・腕ひっかけドア開閉
中山工業とアールビーが開発したのはL字型をした金属製の器具で、コンビニエンスストアの冷蔵ケースなどに取り付けて使う。手のひらでドアノブを触らずに、肘や腕をひっかけてドアを開けられる。すでに取手市内のコンビニ1店舗に無償提供し、店内で活用されている。今後、土浦市やつくば市など茨城県南地域のコンビニやスーパーから希望を募り、10店舗程度に無償で提供する。
厚さ3ミリメートルのアルミニウム板を直角に曲げ加工し、縁にけが防止の緩衝材などを取り付けた。建築金物製造の中山工業が板金加工を担当し、給湯器などを製造するアールビーが緩衝材を提供した。
「金属加工技術を感染防止に役立てたい」と考えた中山工業の中山元章社長が社内で検討。取引先であるアールビーの米田一夫社長に声をかけ、実現に至ったという。中山社長は「しばらくは新型コロナとの共存を前提に事業活動をするしかない。自社の技術を応用して感染防止に貢献するなど、前向きな動きを広げていきたい」と考える。
グリット、足踏み式消毒スタンド
一方、グリットは足で踏んで消毒液を噴霧できるステンレス製の消毒液スタンド「FUN―MU」を開発した。ポンプ式の容器に入った市販の消毒液を乗せて使う。学校や飲食店などさまざまな施設の出入り口への設置を想定。入退時に手を消毒する際、手で容器に触らなくて済むため利用者に安心感を与えられる。
板金加工や機械設計など、グリットの会員企業がそれぞれの得意技術を持ち寄って製作した。ひたちなか市に5台を寄贈したほか、7月には県内限定で一般販売を予定する。グリットの代表を務めるエムテック(ひたちなか市)の松木徹社長は「新型コロナとの戦いは長くなる。長く使っても安全なように頑丈に設計した」と話している。
(2020/6/29 05:00)
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