(2020/11/13 05:00)
コロナ禍がもたらす社会の変化に適応し、企業変革も加速が求められる。
新型コロナウイルス感染症で大きく落ち込んだ日本経済。上場企業の決算からは、業績回復が顕著な業種と低迷が続く業種。さらには同一業種でもアフターコロナへの準備ができている企業とそうでない企業が混在していることが見てとれる。
回復が顕著なのは、自動車および関連産業だ。トヨタ自動車は2021年3月期連結決算の当期利益を、前回予想から6900億円増の1兆4200億円へと上方修正した。中国・米国市場での販売が急回復しているほか、豊田章男社長は「原価低減活動などで企業としての力が強くなっている」と、改革の成果に自信を示した。ホンダも業績を上方修正した。
興味深いのは、部品メーカーの動向だ。日本電産や村田製作所などの電子部品メーカーが業績を急回復させ、通期見通しも上方修正しているのに対し、既存の大手自動車部品メーカーは見通しを据え置き慎重な見方を崩していない。電動化や自動運転といった自動車の大きな変化に適応した企業と、適応しきれていない企業とで成長に差が生じているようにみえる。
電機業界でもソニーが巣ごもり需要でゲーム関連事業が伸び売上高の通期見通しを上方修正した。日立製作所はソリューション事業をコアとし、関連の薄い事業を売却するポートフォリオ改革を進めており、その成果が業績にも反映されている。
一方コロナ禍の負の影響から脱しきれていないのが、航空・鉄道・ホテルなどの運輸、観光業界。軒並み赤字に転落した。今後コロナ感染の収束で一定の回復は見込めるが、リモートワークの定着で、本業だけでは以前のレベルまでの回復は期待できない。新たな収益の柱を育成し、不採算分野を大胆に見直す対応に迫られている。
コロナ後の社会を見通し、自社のあるべき姿を再構築する作業が今まさに始まっている。変化に適応できた企業だけが生き残れることを認識し、改革を断行してほしい。
(2020/11/13 05:00)
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