(2020/11/25 05:00)
ほぼ半数が無料版利用
選定には機能・価格重視
地震・風水害関連とインフラ情報ニーズ高く
防災科学技術研究所(防災科研)は防災・減災にかかわる情報サービスへの企業ニーズを探るため、防災担当者などを対象にしたウェブアンケートを10月に実施した。それによれば、現在、無料の情報サービスを利用しているところはほぼ半数に上り、利用中・利用予定の情報サービスの選定では「機能」「価格」を重視、また災害情報の種別では「地震」や「風水害」関連が上位に来ることが浮き彫りになった。今後、同サービスに期待する防災情報としては、停電・停ガス・断水・道路・鉄道といったインフラ関係がほとんどを占めた。
防災科研の「防災・減災のための情報サービスに関する調査」は、10月7日―29日に実施し、全体の回答件数は1000件。そのうち「自然災害・防災情報サービスの利用状況」では、回答926件のうち「利用中」が46%、「利用予定」が27%。「利用しない」も20%あり、その理由(自由記述)として「気象庁・官庁・自治体の情報を活用」「個人で対応」「そこまでの必要性を感じていない」などを挙げた。
また、「現在利用中あるいは利用予定のサービスの形態」【図1】では、回答726件中、気象庁・NHK・国土交通省といった「無料の災害・防災情報サービス」が50%とほぼ半分を占めた。それに対し、「有料サービス利用」は14%、「自社構築サービス」は7%だった。
次に、情報サービスの初期費用については、「年間1万円以内」27%、「同10万円以内」20%、「同100万円以内」15%と分かれ、「1000万円以内」も7%に上った。ランニングコストも「年間1万円以内」が30%を占め、「10万円以内」22%、「100万円以内」14%となった。また、「情報サービスをどこで知ったか」については「インターネット」が41%と圧倒的に多かった。
利用中および利用予定の情報サービスでの自然災害・防災情報の種類(726件・複数回答)【図2】については、(1)震度(2)震源(3)台風情報(4)降雨量(5)天気図(6)河川水位情報(7)洪水氾濫情報(8)風速(9)停電情報(10)津波の高さ(11)道路交通情報の順。地震関連が上位に来るものの、最近の台風・大雨による風水害を反映してか、降雨・河川関係の情報に対するニーズも高いようだ。
一方、現在利用中・導入予定の情報サービスの「課題」については、「情報の精度」(21%)、「機能」(16%)、「更新頻度」(15%)の順に多く、「価格」「サポート体制」を上回る。「今後のサービスで重視する機能」という問いでは、「自然災害・防災情報の一元的提供サービス化」が17%を占め、次いで「可視化」「組織内システム(生産・人事・営業)との連携」「メールなどオフィスソフトウエアとの親和性」の順で重視する声が強い。また、自然災害・防災情報サービスについて「情報交換コミュニティ」を「必要」とする声は45%にも上り、「不要」の7%を大幅に上回った。
「今後の情報サービスに期待する防災情報」【図3】については、「停電・停ガス・断水・下水支障・通信支障・復旧の情報」「道路・鉄道被害情報」「道路通行支障・鉄道運行支障・復旧の情報」「電力・都市ガス・上水道・下水道・情報通信施設」が19%前後でほぼ並んでいる。
なお、調査結果の詳細はこちらのページから閲覧できる。
(2020/11/25 05:00)
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