- トップ
- ひと カイシャ 交差点
- 記事詳細
(2020/12/7 05:00)
「パプリカ」大胆さに注目
(総合1から続く)幼いころ実家が小さな青果卸業とスーパーを営んでいたので、当時から食べ物や農業に興味がありました。学生時代は科学と数学が好きで、有機化学の構造決定がパズルを解く感覚で面白いと感じていました。大学受験の時、自分が将来何になるか悩む時間がもう少しほしいと考え、2年で学部が選択できる東京大学の理科二類に進学しました。2年次に東日本大震災が発生し放射線の問題がクローズアップされたこともあり、4年次に放射線植物生理学研究室に入りました。
東大農学部生命化学・工学専修を卒業し、豊田通商に2013年に入社しました。学内の周囲に研究者や農業関連に進む人が多い中で、当社のパンフレットを見てパプリカ生産拠点の増設を進めていることを知ったのがきっかけです。パプリカを生産するベジ・ドリーム栗原は栽培面積が6ヘクタール以上あり、こんな大胆に農業にお金を使う会社であれば、組織の垣根を越えた面白いビジネスが生み出せるのではないかと考えたからです。
入社後3年間はナッツなどのトレーディングに携わり、4年目はロシアで語学研修を受けました。17年からベジ・ドリーム栗原の経営管理を担当し、18―19年は現地に駐在しました。年間を通してパプリカを栽培し、約70人の従業員と取引先のサポートを受けながら会社経営を遂行できたことは、私の財産になっています。同社のさらなる成長のための課題を明確化できたことをうれしく感じています。
この4月から東京本社勤務になりました。休日は読書や猫2匹と遊んでいます。夫と4年ぶりに同居するようになり、近所にある横浜中華街の飲食店も開拓していけたらと考えています。(文=浅海宏規、写真=成田麻珠)
◇豊田通商 食料・生活産業本部L&C事業戦略部事業開発・DXグループ主任 石田しほり(いしだ・しほり)さん
(2020/12/7 05:00)