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(2021/1/18 05:00)
見えない所に大事なヒント
(総合1から続く) 研究所のある袖ケ浦センター(千葉県袖ケ浦市)にはとても多くの人がいますが、「嫌だな」と思う人がいない、良い環境でのびのびと仕事ができています。熊本大学大学院自然科学研究科で錯体化学を勉強し、ウレタンとは全く違う研究でしたが、就職活動で会った先輩方が明るく、「一緒に働いたら楽しそう。新しい分野もやっていけそう」と、入社を決めました。
3Dプリンティング材料の研究では、ウレタンの合成や成形、3Dプリンターでの試作などを行います。最初に「こんなものができるだろう」と、化学構造や割合を考えて合成するのですが、思わぬ原因で予想外の結果が出ることもあります。立ち止まって考えるのは大変ですが面白いところ。見えない所に大事なヒントが隠れています。
うまくいかない時は、周りを巻き込んで話を聞いてもらいます。他の人に話を聞くと「こんな考え方があったんだ」と新しい見方に気づきます。何より、すごい人たちに囲まれているので、聞かないともったいない。少し困った様子が見えると、皆が集まってきてくれるので、「大切にしてもらっている」と実感する日々です。
新型コロナウイルス感染症の流行によって、社外の人に直接材料を見てもらえなくなり、大学にしかない機械も使えなくなり、もどかしさを感じています。趣味の音楽フェスティバルや出張先のご当地グルメもおあずけです。
リクルーターとして参加している採用活動もオンラインになりました。学生が質問しやすいように少しずつ工夫しています。大変な状況が続きますが、しっかりした学生が多く、心から応援しています。(文・写真=梶原洵子)
◇三井化学 研究開発本部合成化学品研究所ウレタン材料設計グループ研究員 中原理紗(なかはら・りさ)さん
(2021/1/18 05:00)