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(2021/3/1 05:00)
発酵の研究、うれしい受賞
(総合1から続く)共立女子大学家政学部食物栄養学科の出身です。付属高校から入学しました。理系クラスに在籍していたことと、食べたり飲んだりするのが好きだったことが進学先に選んだ理由です。
大学では食品化学を専攻しました。例えば、調理での食品の変化は化学式で表せます。調理をサイエンスで捉えるなんて面白いですよね。介護食の研究室で物性の研究などをする中で、自分の研究で誰かの役に立ちたいと考えるようになり、食品メーカーを中心に就職活動を行い、縁あってキリンホールディングス(HD)に入社しました。
実は社会人になるまで、ビールはあまり飲んだことがありませんでした。でも入社後、連日のように上司や先輩方が飲みに連れて行ってくれたことで、徐々にビールのおいしさが分かるようになりました。
これまで酵母や発酵を専門に研究してきました。キリンには発酵中にホップを添加し、香りを豊かにする独自製法があります。これは先輩が開発した技術なのですが、この製法が発酵を早めているのではと気づき、自主研究の時間にメカニズムを検証しました。研究を進める中で、プリン体を低減する作用があることも分かり、この成果が第三のビール「のどごしゼロ」に採用されました。この研究で日本農芸化学会の農芸化学女性企業研究者賞をいただくことができ、本当にうれしかったです。
新型コロナウイルスの感染拡大前は趣味の旅行やライブ鑑賞を楽しんでいました。今はどちらもできないので、休日は家で花を生けています。植物に触れると癒やされるし、部屋も明るくなるので一石二鳥です。(文=高屋優理、写真=高山基成)
◇キリンHD R&D本部飲料未来研究所 新価値創造ユニット 土屋友理(つちや・ゆり)さん
(2021/3/1 05:00)