(2021/3/5 05:00)
電子部品はモバイル端末や自動車の電子化を背景に、高性能・多機能化や微細化が進んでいる。電子部品の需要は第5世代通信(5G)の世界的な商用化サービスや、テレワークの普及で端末や基地局、パソコン向けに増加している。こうした電子部品や半導体デバイスをプリント配線板の表面に実装する技術(サーフェス・マウント・テクノロジー=SMT)は装置だけでなく、ハンダ材料の技術向上や、生産の自動化などの要求に応えている。
技術革新支える
SMTやハンダ、検査装置はエレクトロニクスの進化と自動化を背景に、技術革新を支えている。チップ部品や表面実装部品(サーフェス・マウント・デバイス=SMD)と呼ばれる微細な電子部品をプリント配線板に実装する生産ラインにおいて、高密度で高速に表面実装する技術が欠かせない。生産ラインはハンダ印刷機、検査機、実装機(マウンター)、リフロー炉(リフローハンダ付け装置)、それらをつなぐ搬送装置などで構成される。ジャパンユニックスは搬送設備を含めて統合し、完全自動化などを支援している。
電子情報技術産業協会(JEITA)による2020年1月から11月までの生産実績合計金額で見ると、モジュール実装基板などの「電子回路実装基板」は前年同期比90.2%増の2486億5000万円となった。フレキシブルプリント基板(FPC)や多層プリント配線板などの「電子回路基板」は同8.4%増の4419億2200万円となり、おしなべて好調な推移を見せた。
搭載する電子部品でみると日本メーカーの20年11月の電子部品世界出荷額は、JEITAによると前年同月比11.1%増の3511億円と、3カ月連続プラスで推移した。
新型コロナウイルス感染症の影響で生産調整がみられた自動車関連向けの需要回復がけん引した。5Gやテレワークの普及などでパソコンなどの情報通信機器関連向けも好調に推移した。
調査会社の富士キメラ総研が1月29日に発表した「プリント配線板・実装関連装置の世界市場」によると20年のプリント配線板の市場は、基地局やサーバーなどの情報通信インフラ、パソコン向けは非常に好調であるが、自動車の生産調整などを考慮し、前年比0.2%減の5兆5158億円と予想した。26年には19年比13.7%増の6兆2869億円の成長を見込んでいる。
実装関連装置の20年の市場は、半導体パッケージ基板やモジュール基板向けなどの投資で、前年比0.5増の4638億円と予想した。大型投資がしばらく続き、26年は5283億円と市場拡大を見込んでいる。
小型化・車載に対応
積層セラミックコンデンサー(MLCC)は小型化要求がみられ、「0201」と呼ばれる横0.25ミリ×縦0.125ミリ×高さ0.125ミリメートルのMLCCに注目が集まっている。
このサイズの電子部品をハンダ付けするには、ハンダ材料や実装機の技術革新が求められる。
ハンダ材料は微粉末ほど表面積と酸化量が増える。そのため、活性化が高く、リフロー炉での酸化を抑制する酸化防止剤(フラックス)が重要になる。0201サイズの電子部品をハンダ付けするにはこうした課題にもハンダ材料メーカーは対応している。
タムラ製作所の微細印刷対応の鉛フリーハンダ「TLF-204G-HFW」は、0201部品の短絡(ショート)の原因となる印刷ダレやプリヒートダレを抑制し、チップ脇のハンダボールの発生を抑制して良好なハンダ付けを実現している。微細モジュール化による洗浄が必要となる場合においても洗浄性にも優れている。
自動車はEV化や安心・安全向上に向けて、電子部品の搭載数を拡大させている。電子部品だけでなくハンダ材料も過酷な温度、泥や粉じんなどの耐環境性、耐振動性に応えなければならない。温度変化が激しい環境でもフラックス残渣(ざんさ)が割れないなどの課題を克服し、高い品質と信頼性を支えている。
(2021/3/5 05:00)