(2021/4/7 05:00)
燃料アンモニアの実用化に期待が高まっている。2021年度は利用・生産技術開発のプロジェクトが始動する。日本が国際標準化を主導できるよう技術基盤の構築を急ぎたい。
燃料アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を排出しないため温暖化対策の有効な手段になる可能性がある。政府は「50年のカーボンニュートラル実現」を宣言したことを受け、官民協議会で実用化へ議論を本格化しつつある。昨年末発表になった「グリーン成長戦略」では14重点分野の一つに「燃料アンモニア産業」が位置付けられた。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は21年度から工業炉での燃焼技術確立に向け研究開発に着手する。高度な温度管理が要求される板ガラスの溶解炉で利用する場合も視野に入れ、輻(ふく)射伝熱を強化したり、窒素酸化物の排出を低減したりできる燃焼技術の開発を支援する。また再生可能エネルギーからワンステップでアンモニアを電解合成する技術開発にも取り組み、グリーンアンモニアの製造コスト低減を図る。
実用化の課題は利用技術の開発や製造コストの低減とともに安定的な供給量の確保にある。協議会では石炭火力発電の混焼化で30年に年間300万トン、専焼化が進む50年は同3000万トンの国内需要を想定する。ただ世界全体の貿易量は現在約2000万トンしかない。燃料アンモニアの利用拡大には専用プラントによる供給力の強化や貯蔵施設の大規模化が欠かせない。
アンモニアの強みは肥料・工業用途で確立された輸送や貯蔵の技術を生かせる点にある。エネルギー分野へ応用できれば水素社会が到来するまでの「中継ぎ役」となる期待が持てる。さらに水素利用が本格化しても、アンモニアの価格次第では用途に応じて水素との使い分けが進むとみる専門家もいる。
燃料アンモニアの海外利用を促すには水分量など燃料アンモニアの品質や窒素酸化物の排出について基準を定めておく必要がある。国際標準化機構(ISO)での標準化で日本が主導的な役割を担えるようにしたい。
(2021/4/7 05:00)
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