(2021/6/11 05:00)
飛行ロボット(ドローン)の用途拡大を図るためにも、国産機の開発を急ぐべきだ。
今国会で改正航空法が成立し、2022年度をめどに人がいるところでの目視外飛行規制が緩和され、いわゆる「レベル4飛行」が実現する。
ドローンを活用した宅配サービス、農場の監視作業、施設の点検、災害時の救助活動など、さまざまな活用が期待できるようになる。
同時に機体の安全性を認証する制度や、操縦者の技能を証明する免許制度も創設される。事故時の報告も義務付けられる。安全を最大限確保しながら、利活用策を官民が協力して進めていきたい。
ドローンの市場シェアは、これまでDJIをはじめとする中国企業が世界の7割を占めていた。風向きが変わったのはこの数年だ。米国をはじめ、日本を含む先進国の多くが相次いで中国製ドローンの公共調達を事実上禁止、大企業も利用を中止している。海外製ドローンによって空港や重要インフラ施設などの画像や位置情報が流出する恐れがあるためだ。
国産ドローンの開発では、ヤマハ発動機や、自律制御システム研究所(東京都江戸川区)、テラ・ラボ(愛知県春日井市)、エアロジーラボ(大阪府箕面市)、東光鉄工(秋田県大館市)などの中小・ベンチャーも名乗りを上げる。ユーザーとの情報共有で、用途開発を進めてもらいたい。
機体開発とともに、飛行距離や時間を延ばすうえで課題となるのが、搭載するバッテリーの性能強化だ。現行の小型ドローンは20分前後しか飛べないものが多い。軽量で大容量の蓄電池の開発が不可欠である。
大型・長距離飛行ドローンは、民需だけでなく軍需目的も含め欧米諸国が開発を競っている。米国防総省をはじめフランスやスイス、イスラエルなども政府援助でハード、ソフトの開発を進めている。日本も目標とする要求性能を示し、参加企業同士でコンソーシアムを形成するなど、早期の実用化へ支援の手法を考えていくべきだ。
(2021/6/11 05:00)
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