TE Connectivity、次世代育成でリビングロボットとタッグ【PR】

(2021/10/7 10:00)

 コネクターとセンサーの世界大手、TE Connectivity(TE、スイス)の日本法人であるタイコエレクトロニクスジャパン合同会社(TEジャパン、川崎市高津区、松井啓社長)とロボットベンチャーの株式会社リビングロボット(福島県伊達市、川内康裕社長)が、理系人材の育成で手を結んだ。プログラミングの学習に応用できる二足歩行ロボットを通じ、先進的な学びの体験を提供している。革新的な技術を生み出す次世代のイノベーターが、この中から誕生するかもしれない。

 両社の協業はTEの製品を搭載し、リビングロボットが開発した二足歩行ロボットを用いるプログラミング学習の導入を促進し、TEが産業分野で培った技術を通じて、STEM(科学、技術、工学、数学)教育を推進することが主目的。プログラミング教育が2020年度に小学校で、翌21年度に中学校で必修化された中で、より実践的なSTEM教育を支援する学習材として、小学校などに採用を働きかけている。

 リビングロボットは川内社長ら、大手電機メーカーで携帯電話機能付きロボットの開発などに携わった技術者が中心となって、18年4月に創設した研究開発型ベンチャーだ。ロボットと人がともに生きる社会の実現を目指し、人の成長に合わせて成長する、あるいは人がもっと人らしく生きるために働くパートナーロボットの開発に力を入れている。

 川内社長は「食べ物や衣服の好みと同じように、これからはパートナーロボットに求められる役割が、人の成長に伴って変わっていく」と指摘する。幼児にとっては楽しく話しかけるオモチャ、高齢者にとっては安全な移動を支える車いすなどといった具合に、使う人の年代に応じてロボットの姿も変化すると予想。「各年代にふさわしい姿で人に寄り添い、暮らしを豊かにするロボットを提供したい」(同)と明かす。

  • リビングロボットの「あるくメカトロウィーゴ」①

  • リビングロボットの「あるくメカトロウィーゴ」②

 学習用ロボットの開発もこの一環だ。模型などで人気のロボットキャラクター「メカトロウィーゴ」のデザインと、独自の技術を融合した二足歩行ロボット「あるくメカトロウィーゴ」を、プログラミング教育の学習材として小学校などに提供している。高さが13センチメートルと小柄ながら、カメラや各種センサーを搭載し、逆立ちやダンスができる優れものだ。

 ロボットの動きや機能をつかさどるプログラムを、主に教育用として手軽に扱えるプログラミング言語「スクラッチ」を使って簡単に組める。パソコンなどの入力端末とインターネット環境があれば実践でき、生徒の創意工夫をロボットの動きに反映させられる。川内社長は「プログラミングとはいかなるものか、モノはどんな仕組みで動くのかを知るきっかけにしてもらいたい」と意気込む。

 生徒個々人に情報端末を普及させる「GIGAスクール構想」の進展で、こうした学習材を使いやすい環境が整いつつあり、地元・伊達市の小中一貫公立校で20年8月に初採用されて以来、納入実績は20校近くに上る。

 TEとのコラボレーションは同社の小型アンテナが、あるくメカトロウィーゴに採用されたことが契機になった。このアンテナはパソコンなどで作成したプログラムのデータを受信するためのもので、あるくメカトロウィーゴ専用にカスタマイズ(個別対応)した。

「TE Connectivityのアンテナソリューションおよび技術」

 TEは「すべての家電製品がインターネットにつながる時代を見据え、コネクターとセンサーの両事業に加えてアンテナの製造・供給にも力を注いでいる」(櫛引健雄マーケティング統括部長)。この事業ポートフォリオがコラボに結び付いた。TEのアンテナには多数の種類が用意されており、自動車、商用輸送、鉄道、コンシューマーデバイスなどさまざまな用途に使われる標準アンテナと、カスタムアンテナを提供している。

  • アンテナの採用で商談をするリビングロボットの川内康裕社長(左)とTEの櫛引健雄マーケティング統括部長

  • 『プログラミング学習を通して自ら考え、問題を解決する力を身に付けてくれたらうれしい』と櫛引TEマーケティング総括部長

  • 『各年代にふさわしい姿で人に寄り添い、暮らしを豊かにするロボットを提供したい』と川内リビングロボット社長

 コラボの内容としてはTEが、あるくメカトロウィーゴを使ったプログラミング学習の紹介映像や、川内社長ら関係者に対するインタビューの映像を作成し、動画サイトなどで広告として配信している。紹介映像は①生徒らがロボットを使ってプログラミングを学ぶ場面②ロボットに搭載するアンテナのカスタマイズで、リビングロボットとTEがすり合わせの協議をする場面③生徒がロボットの出来栄えに「やった」と達成感に満ちた表情を示す場面の3部構成だ。

 インターネットのポータルサイトでも、バナー広告を展開している。思い通りのプログラムを作成でき、喜びの表情を浮かべる女児の姿を中心に描いた。

 ロボット開発でオープンイノベーションを重視するリビングロボットと、顧客とのすり合わせで設計を最適化する「コクリエーション」に力点を置くTEは、共鳴し合う点が多かった。TEの櫛引氏は「革新的な技術を生み出す未来のイノベーターを育てるといった目的にも共感し、次世代育成で手を携えたいと考えた」と振り返る。両社が培ったモノづくりの知見が、プログラミング学習を通じて技術への好奇心を呼び起こし、従来にない学びを体験させている。試行錯誤を繰り返す中で目標にたどり着いた経験が、生徒の自信につながるという。

 気候変動への対応など、地球規模の課題を解決するための革新的な技術や発想が求められる中で、既存の枠にとらわれないSTEM教育の重要性が高まっている。豊かで持続可能な社会づくりを担う次世代のイノベーターを育てるには、子どもらの探究心を生み出せる教育が欠かせない。

 リビングロボットの川内社長は「開発環境を含め、あるくメカトロウィーゴの技術情報をもっとオープンにしたら(ロボットの動かし方で)さらにすごいアイデアが出てくるかもしれない」と期待を強める。TEの櫛引氏も「プログラミングコンテストのようなものを、ぜひ実施していただきたい。我々が想像もしていない使い方があるのではないか」と指摘。こうした中で「これからを担う子どもたちが、プログラミング学習を通して自ら考え、問題を解決する力を身に付けてくれたらうれしい」と夢を膨らませる。

 TEは長期的な持続可能性および企業責任に関し、今まで以上に将来的なビジョンに重点を置いた戦略を、2020年8月に発表した。温室効果ガスの排出量、エネルギー消費量、取水量の削減および次世代の持続可能なエンジニアの育成など、2030年時点でのサステナビリティー(持続可能性)目標実現に向けた活動を推進している。今後も、より安全で持続可能な社会の実現、より豊かなつながる未来の創造に貢献し続けていく考えだ。

株式会社リビングロボット

(2021/10/7 10:00)

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