産業春秋/里山の再生

(2022/1/13 05:00)

イノシシの狩猟が各地で最盛期を迎えている。栄工業(新潟県燕市)は、知る人ぞ知る鳥獣捕獲器のメーカー。社長の山村則子さんによると、近年は温暖化で新潟県でも根雪が少なくなり、イノシシが越冬できるようになった。

イノシシの一部は、イノブタと交雑が進み巨大化する。猟師の間で「スーパーイノシシ」と呼ばれ、体重は優に100キログラムを超える。脂肪をたっぷり蓄え、寒さに強い。温暖化も味方し、北へ北へと生息域を広げているそうだ。

野生鳥獣による農作物の被害は約161億円(2020年度)に上る。減少傾向にあるものの、農林水産省は依然高水準とみて、駆除の手を緩めない。営農意欲の減退や耕作放棄地の増加など、数字に表れる以上に深刻な影響を及ぼしている。

「山の恵みは山へお返しする。昔は作物を動物に分かつ文化があった」と山村さん。種や生態系を守るため、捕獲した動物を自然界に戻すこともある。同社では狩猟者だけでなく、動物の安全にも配慮した製品づくりを基本にしている。

人獣の境界に電気柵を張り巡らしても、スーパーイノシシの猛進は止められない。人と野生動物のコモンズ(入会地)として里山を再生できないものか。

(2022/1/13 05:00)

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