(2022/2/25 05:00)
都市ガスのスマートメーター普及は、保安の向上に加え、データ利活用でも有益だ。官民連携で普及策を検討すべきだ。
電気やガス、水道などの使用量を把握し、通信回線で遠隔に通知するスマートメーターは、電気で普及率が約9割と進んでいる。これに対し都市ガスは0・3%に留まっている。
都市ガスは地震による大きな揺れや急激な流量変化を検知すると自動的にガスを遮断するマイコンメーターが先行して設置され、2000年代中盤にほぼ100%普及しているためだ。
しかし、より高度な保安機能や使用状況をデータとして活用するには、スマートメーターへの移行が欠かせない。東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手3社は共同でメーターや通信機能の仕様の標準化や運用の共通化など、普及に向けた検討を進めている。
スマートメーター導入で各世帯での検針作業が不要になりコスト低減が図れる。さらにガス漏れを早期に検知し遠隔で遮断したり、逆に開栓作業も自動で行えたりすることで、大規模災害時の安全確保と早期の復旧に役立てられる。
データ活用も期待できる。スマートメーターには地震などの揺れを細かく把握する微小電気機械システム(MEMS)感震センサーが内蔵される。全世帯に震度計が設置されるのと同じ効果があり、そこから得られるデータは、建物の設計や都市開発においても有効活用できる。
日本ガス協会は、大手3社から先行導入を始め、30年代半ばに完了、2040年代に全事業者での導入完了を計画する。課題は機器の導入・設置や通信に要するコストをいかに低減するか。検針レス化効果だけでなく、データ活用による新事業展開などを総合的に検討したい。
将来は電気や水道のスマートメーターとの共通化やデータ連携も進めていくべきだ。設置・運用のコスト低減に加え、省エネの提案や高齢者の見守りなどさまざまな利用が考えられる。事業者だけでなく、利用する側にも便益があることを訴えられれば普及も進めやすくなる。
(2022/2/25 05:00)
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