(2022/3/17 05:00)
研究環境の格差を是正し、意欲ある大学の研究力向上に結びつけてほしい。
最先端設備を持つ大学共同利用機関法人など5法人は、2022年度から連合体で活動を始める。地方や中堅、私立など単独では研究力強化が難しい大学研究者の利用を増やし、日本の研究力のハブ(結節点)となることが期待される。
情報・システム研究機構、高エネルギー加速器研究機構、自然科学研究機構、人間文化研究機構の四つの大学共同利用機関法人と、博士人材育成でともに動く総合研究大学院大学は、一般社団法人「大学共同利用研究教育アライアンス」(IU―REAL)を発足した。法人の傘下には国立天文台、国立情報学研究所など17の研究機関がある。04年度の国立大学法人化時に、通常の国立大の仲間として今の形になった。今回、連合体による改革に踏み込む。
各研究機関は個別大学では持てないような最先端の加速器や情報基盤ネットワークなどの研究資源を、全国の大学の研究者に提供している。しかし先端的なあまり従来は、旧帝大など研究重視の国立大学が主対象だった。各法人や研究機関の役割や仕組みがよく知られていないことも背景にある。
政府は大学10兆円ファンドの対象として「国際卓越研究大学」創設の法案を閣議決定した。また全方位的ではないが、光る研究分野を持つ大学向けに「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」をまとめた。
注目はこれらの対象からはずれた大学や分野に対し、「大学共同利用機関などがハブになる」と位置付ける点だ。どんな国公私立の大学でも、研究者の提案が優れていれば、大学共同利用機関の最先端設備を使って一流の研究ができるという認識を、浸透させていく必要がある。
政府の研究力強化施策で、各大学の研究環境に差が出る恐れはある。しかし所属が支援対象外でも、熱意と能力を生かせる環境にアプローチ可能なら、多くの研究者が希望を持てる。連合体発足を機に、関係者間で役割を強く意識してもらいたい。
(2022/3/17 05:00)
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