(2022/4/20 05:00)
20日に米ワシントンで開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、ウクライナ情勢をめぐる各国・地域の分断が鮮明になる。共同声明をまとめるのも難しい。東西冷戦後、これまで世界に築かれたサプライチェーン(供給網)を再構築し、経済・エネルギーの安全保障を担保できる体制固めを急ぐ必要がある。
G20にはロシアもオンラインで参加する意向を示し、ロシアと関係の深い中国、インド、サウジアラビアなども名を連ねる。ロシアの出席に反発する米国のイエレン財務長官は一部の会議への出席にとどめるという。
トランプ前米大統領が出席した2018年のG20サミットでさえ、同サミットで初めて「保護主義と闘う」の文言が削除されながらも首脳宣言は採択されていた。今回のG20は共同声明の採択が見送られる見通しという。ウクライナ情勢で結束したG7とは異なり、「中立国」も含む呉越同舟のG20では意見集約できない異例の事態になるとの見通しで、分断がさらに深くなることが懸念される。
東西冷戦の終結により地政学リスクが希薄になった世界では、イデオロギーを超えて経済のグローバル化を進められた。だが経済格差の拡大や移民急増による欧州連合(EU)の不協和音や、中国を標的とする米国に保護主義・自国第一主義が台頭。英国のEU離脱に続き、仏大統領選挙では現職の対抗馬がEUと一線を画している。グローバル経済には、すでにほころびが出ていた。
そうした中でのロシアによるウクライナ侵略である。米欧と中ロ、民主主義と専制主義に世界を分断する新冷戦が再び顕在化したことで、これまでのグローバル経済に専念できた時代は完全に終焉(しゅうえん)したといえる。イデオロギーや人権、安全保障を基軸に新たな国際秩序を築く必要がある。
西側諸国は自由貿易と経済安全保障を重視した新たな枠組みで結束を固め、機能不全に陥っている国連や世界貿易機関(WTO)の不備を補完・修正するルールづくりを急ぎたい。
(2022/4/20 05:00)
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