(2022/6/2 05:00)
日本企業が世界から不可欠と思われる姿を目指すべきだ。
政府の2022年版「ものづくり白書」は、コロナ禍から脱却後の日本メーカーの動向を分析した。また前年に引き続きカーボンニュートラルや人権意識の高まり、デジタル化という新たな動きをまとめている。
業況については、20年下期から大企業製造業を中心に回復基調にあったが、22年に入って(指数が)減少に転じたと分析している。設備投資については回復基調にあり、今後も増加すると見込んでいる。
白書が3月末までを対象期間としていることから、業況分析には足元の大きな環境変化は十分に加味していない。エネルギー価格高騰や部品・素材の不足、急激な円安などの事態が今後、これまで以上にわが国製造業に打撃を与えるのは確実な情勢だ。政府には機動的な対応を願いたい。
白書では、エネルギーの安定供給とサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化についての政府の施策を紹介している。調達の多様化や国内生産は岸田文雄内閣の「経済安全保障」政策でもあり、日本企業が安全に操業を続けられる環境は必要だ。
とはいえ輸入価格の高騰を補助金で補ったり、部品・素材すべてを政府が管理するような仕組みは不合理であり、産業界の考え方にも合わない。
経済産業省幹部は「日本が(部品・素材などで)チョークポイントを握る『戦略的不可欠性』の議論をすべきだ」と話す。調達の安定性だけではなく、供給側としての製造業の競争力を高め、日本が世界のサプライチェーンの中で重要な地位を占めることが望ましい。
日本企業はコロナ禍の前から、必ずしも投資に積極的でないことが問題視されてきた。白書では企業の営業利益率と固定資産の増加率の相関を分析している。低い利益率の企業は有形固定資産が減少する一方、借入金比率は増えているという。
メーカーが「勝てる」と見込んだ分野で、積極的に増産投資をしていく。それを促す政府のビジョンを期待したい。
(2022/6/2 05:00)
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