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(2022/10/31 05:00)
輸送への気象リスク発信
(総合1から続く) 宇宙が好きで東海大学工学部航空宇宙学科に入学しましたが、気象予報士の先生の授業を受けて気象学が好きになりました。勉強し始めた後、2016年8月に1週間で三つの台風が北海道に上陸したニュースに衝撃を受けました。豪雨で流されてしまった高齢者施設の映像を見て「人の命を守る気象情報を発信したい」と強く思い、18年に日本気象協会に入社しました。
配属されたのは防災でも交通に関するグループ。知識が少ない中でも「人の命を守る」と考えた際に「気象情報を事前にうまく伝えれば、トラックの横転事故を回避できるのでは」と物流ドライバーの安全に特化したサービスをひらめきました。社内で提案すると、激甚災害の増加に危機感を持った物流会社の要望もあり、事業化に向けたプロジェクトが発足。私は入社2年目でリーダーに。そのころには5回目の挑戦で気象予報士の資格も取得していました。
物流は生活の生命線です。運ぶのを止められないなら、リスクを回避してドライバーの安全を守る選択肢を提供したい。入社当時からの指導係の先輩と二人三脚で奮闘し、誕生したのが「GoStopマネジメントシステム」。高速道路のインターチェンジなど全国2000地点以上で、雨や風などの気象要素が輸送に影響を与えるリスクをパソコンの一画面に表示。3日前から1時間単位で伝えるのが基本です。
全国の支店と連携で営業活動し、顧客からいただいたご意見をもとに追加したコンテンツは20以上。21年にはロジスティクス大賞を受賞しましたが、多くの協力を得て進化は続きます。「人の命を守る気象情報を発信したい」という入社当時の思いは変わりません。
趣味はスポーツ観戦。一つのことを極めるアスリートの姿に元気をもらっています。(文=熊川京花、写真=高山基成)
◇日本気象協会 事業本部 社会・防災事業部 交通ソリューション課 道路・鉄道グループ 寺田三紗(てらだ・みさ)さん
(2022/10/31 05:00)