(2023/1/23 05:00)
第211通常国会が23日召集される。防衛力増強や少子化対策に必要な財源問題、物価高対策、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題など課題が山積する。岸田文雄首相は中でも「異次元の少子化対策」を最重要課題に掲げる。4月に統一地方選挙を控えているものの、与党は少子化対策の財源問題を先送りせず、待ったなしの課題に審議を尽くしてもらいたい。
通常国会の会期は6月21日までの150日間を予定。防衛財源となる「防衛力強化資金」の新設を盛り込んだ特別措置法案や、原子力発電所の稼働期間を60年超に延ばす原子炉等規制法改正案など法案60本が提出される。岸田首相は施政方針演説で少子化対策を最重要課題と位置付ける考えを表明する予定だ。
政府は「異次元の少子化対策」を議論する関係府省庁会議の初会合を19日に開いた。児童手当など経済的支援の強化、幼児教育・保育サービスの強化、働き方改革の推進の3本柱を議論し、4月の子ども家庭庁発足前の3月末までにたたき台をまとめる。6月に策定する経済財政運営の基本方針(骨太の方針)には財源の方向性も示すとしている。2022年の出生数は初めて80万人を割る見通しで、対策は猶予を許さないだけに確実に履行してもらいたい。
少子化対策の最大の焦点は児童手当の強化で、兆円単位の財源が必要と見込まれる。児童手当の所得制限の撤廃・増額や、非正規労働者らにも給付金を拠出する制度の新設などには巨額の安定財源を手当てする必要がある。社会保険料の一部を原資とする案や、消費増税を指摘する声が与党内にあるものの、物価高対策が問われる中で消費増税へのハードルは極めて高い。
少子化対策の財源問題は、防衛財源の確保を優先した政府・与党が議論を先送りした経緯がある。岸田首相が内閣支持率の向上を狙ったかはさておき、子育て世帯の負担軽減を通常国会の最優先課題に掲げたことは適切だ。将来世代に禍根を残す国債依存を回避しつつ、財源を含む効果的な少子化対策を今度こそ仕上げてもらいたい。
(2023/1/23 05:00)