社説/FRB、0.25%利上げ 「近く利上げ停止」「円高」に警戒

(2023/3/24 05:00)

米連邦準備制度理事会(FRB)は22日(現地時間)、政策金利を0・25%引き上げると決めた。本来なら日米金利差拡大が意識され円安傾向となるが、23日の東京外国為替市場は前日より2円ほど円高の1ドル=130円台半ばから後半で推移。市場では米FRBが金融不安に対応し近く利上げを停止するとの観測が広がり、米長期金利が低下した。米FRBは金融不安とインフレの双方をいかに抑えるか、世界経済に影響するだけに慎重な政策運営を求めたい。日本は円高の行方に警戒したい。

米FRBのパウエル議長は米国の金融システムは「健全で回復力がある」と指摘した上で、「年内の利下げは想定していない」と語り、今後も利上げを継続する方針を示した。ただ一方で、今回の会合では「利上げ停止も検討した」と語り、苦渋の選択でもあった。加えて今回の利上げにより政策金利の誘導目標が4・75―5%に達し、米FRBが見通す23年末の約5・1%に接近している。金融不安がくすぶる中で、利上げに動きにくい状況にあると言える。

米国の2月の消費者物価指数は前年同月比6%上昇した。統計を見る限り、米FRBの今回の利上げは適切な判断だった。

問題は、米銀2行の経営破綻を発端とする金融不安が早期に収束するかだ。2行のうちシリコンバレーバンク(SVB)は米FRBによる金融引き締めで保有債券に巨額の含み損が発生し破綻した。経営破綻の連鎖を断つには銀行経営に配慮した利上げの停止が求められる。米FRBによる今回の利上げ幅も、2行の破綻が表面化する前に想定された0・5%を0・25%に緩めている。米FRBが“ハト派”に転じ、近く利上げを停止してインフレ長期化につながるのか、注視していきたい。

イエレン米財務長官は、破綻2行の預金全額を保護する異例の対応は「他行にも適用し得る」との考えを示す。また日米欧の6中央銀行は市場へのドル供給で協調し、金融機関のドル資金繰りに対応することで合意した。市場との対話も継続し、金融不安の早期収束を図りたい。

(2023/3/24 05:00)

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