社説/株、バブル後最高値 成長投資・賃上げを継続したい

(2023/5/23 05:00)

株価が3万1000円超の高値で推移している。22日の日経平均株価の終値はバブル期後の最高値を更新した。好調な企業業績に加え、自社株買いや海外投資家のマネー流入など複数の要因が絡み合っている。米国の堅調な雇用情勢を受け、金融引き締めが長期化するとの観測から、円安が進んだことも株価を押し上げた。ただ世界経済の先行きは不透明なだけに、株価の行方も楽観できない。企業は好業績を背景に、賃上げに加えて成長投資も積極化し、内需主導型の成長で株高を維持したい。

足元の株高は、海外投資家が消去法で日本株を買っている側面が指摘される。米欧は金融不安による信用収縮が懸念される中、インフレ抑制と景気下支えの難しいかじ取りを迫られている。一方、日本はコロナ禍の行動制限緩和に伴う個人消費の回復が企業収益を押し上げている。加えて為替相場は日系企業の輸出に有利な円安基調で、海外投資家も円安により日本株が割安に映っているとみられる。

日銀の金融緩和も投資家に買い安心感を与えているほか、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株に積極投資すると4月に伝えられたことも株高を後押ししているとされる。堅調な企業業績にこれらの要因が重なり、株価がバブル期後の最高値を更新している。

日本企業の相次ぐ自社株買いが株価を押し上げていることにも留意したい。東京証券取引所は株価が割安かを測る株価純資産倍率(PBR)に着目し、これが1倍を割る企業に改善策を示すよう求めている。PBRは自社株買いによる株主還元を進めれば短期的に上昇する。

ただ余剰資金の一部を自社株買いに振り向けても効果が短期的となる可能性がある。企業は株主以外の従業員や取引先などのステークホルダー(利害関係者)にも目配りし、人への投資や成長分野への投資も推進することで、持続的にPBRを改善していきたい。持続的な株高につながるはずだ。加えて賃上げも継続し、内需拡大を起点とする経済好循環を力強く回すことも株価下支えに求められる。

(2023/5/23 05:00)

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