SIer最前線/ユカイ工学 卓上型コミュニケーションロボ、介護・福祉向け展開加速

(2023/5/30 05:00)

ユカイ工学(東京都新宿区、青木俊介社長)は、2007年12月設立のロボットベンチャー。卓上型コミュニケーションロボット「BOCCO emo(ボッコエモ)」をはじめ、なでると尾をパタパタするクッション型セラピーロボット「Qoobo(クーボ)」、口の部分に指を入れるとおしゃぶり動作をする「甘噛(が)みハムハム」など、ユニークな商品を世に出し続けている。甘噛みハムハムは22年3月にクラウドファンディングで購入者を募り、予想を大幅に上回る計3万体を販売した。

  • ボッコエモによる声がけで高齢者の孤独感を解消(イメージ)

最近はボッコエモを利用した介護・福祉向けの事業展開に力を入れている。23年3月に都内で開かれた展示会では、同ロボットを利用した在宅や高齢者施設でのオンライン服薬支援方法を紹介した。同ロボットには音声認識機能が備わっており、服薬カレンダーと連動して朝晩など決まった時間になると「お薬の時間だよ。忘れずに飲んでね」と高齢者に呼びかける仕組み。高齢者が服薬カレンダーから薬を取ると「ありがとう」などとお礼を言い、間違った日や時間の薬を取ると「違うよ」などと注意喚起する。残薬確認もカレンダーの管理画面で簡単にできる。

介護現場での同ロボット活用は、自治体や介護施設などで繰り返し実証実験を重ねてきた。ボッコエモは当初は遠方で暮らす親族らによる「老親ケア」で使われることが多いが、体調変化や認知症の進行で施設に入居すると、食事やリハビリ準備の声かけなど新たな機能が必要になる。介護施設では職員の不足により、高齢者一人ひとりの見守りやチェックが難しい例もあるが、同ロボットを各居室に置くことでエアコンのかけ過ぎによる冷えや、エアコン不使用による熱中症などを防止できる。水分補給の注意喚起や、プライバシー保護の観点で職員が居室に入りにくい時の補助などもできる。

セコムやDeNAと共同で、高齢者への声がけの新たなサービスも始めた。コロナ禍で家族や外部との触れ合いが困難になり、高齢者は孤立感を深めている。同ロボットはその解決策になる。

【企業概要】▽所在地=東京都新宿区富久町16の11武蔵屋スカイビル101▽資本金=1億円▽売上高=非公表▽従業員=35人▽設立=07年(平19)12月

(2023/5/30 05:00)

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