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(2023/10/2 05:00)
判断迷う時は仲間に相談
(総合1から続く)数学や理科が好きで、神戸市立工業高等専門学校に入学しました。研究者が白衣を着る姿が「かっこいいな」と思い化学を専攻。金属にイオンや分子などを結合させて化合物を構築する錯体について研究しました。高専を出て奈良先端科学技術大学院大学に進学、錯体化学の中でも特に関心のあったバイオ分野のタンパク質工学を研究しました。
ロームには2014年に入社しました。当時、当社は糖尿病や血液の炎症を検査するためのバイオチップを手がけていました。学生時代の経験が生かせると思い入社を志望。入社後は同チップの設計開発に携わりました。
1年後、バイオチップ事業の他社への譲渡などもあり、車載用LSI(大規模集積回路)のワイヤボンディング技術の開発部署に異動しました。異分野での仕事で最初は不安でしたが、ここでも学生時代の研究が役立ちました。この技術で金属同士を結合させる際、錯体化学の知識が関わるからです。
ワイヤボンディング材料を金から銅に切り替えた新製品を開発、顧客へ提案した際は苦労しました。銅材料でも金と同等以上の性能を発揮するよう開発を進めながら、顧客に品質などを評価してもらう―。自動車の安全に関わる車載半導体は高い信頼性が求められ、新技術の開発、商品化を進めるためには顧客とのすり合わせが重要です。自社の方針と顧客との板挟みで、判断に迷うこともあります。そんな時は、同僚や上司と相談し、関係者みんながウィンウィンになる案を探すようにしています。
休日は外出して、子どもと遊んだりして過ごしています。趣味は手芸です。手芸で使うミシンの動きとワイヤボンディングの動きはよく似ているんですよ。(文=京都・小野太雅、写真=田山浩一)
◇ローム LSI事業本部 技術開発担当 LSIパッケージ開発部 諸井麻希(もろい・まき)さん
(2023/10/2 05:00)