(2023/12/6 05:00)
神戸大学の横小路泰義教授らは、産業用ロボット次世代基礎技術研究機構(ROBOCIP、東京都港区)と共同で、遠隔操作の遅延の揺らぎを抑える技術を開発した。インターネットで通信データが遅れて渋滞した際に、データを捨てて最新の情報を表示する。遅延はなくならないが、一定の遅延で安定すると操作がしやすくなる。海外工場への遠隔支援などに提案していく。
一般のインターネット回線で遠隔地のロボットを操作する場面で通信品質を向上させる。一般回線は作業途中で経路が混んだり、切り替わったりと通信が安定しない。通信データが届く順番が入れ替わると、データがそろうのを待って順番通りに再生する。
今回、順番を守るよりも最新のデータを表示することを優先するシステムを開発した。前後するデータは捨ててしまう。すると遅延の揺らぎが抑えられ、作業が安定する。
ロボットオペレーティングシステム(ROS)のトピックスという単位で調整し、遠隔地のロボット同士は通信調整を気にせず利用できる。複数の画面を共有する場合は通信負荷が大きく、遅延が生じやすくなる。そこでメーンで使う画面を優先して最新に保つ調整も自動化した。
現在、遠隔操作ロボットを扱う職種は宇宙や海底、災害対応などに限られ、訓練したオペレーターが担っている。海外工場への遠隔支援や技術指導では、遠隔操作のための訓練をしないユーザーが利用する。インターネットも安価な一般回線を用いるため、誰でも低負荷で操縦できるシステムが求められている。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業で実施した。
(2023/12/6 05:00)