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(2024/1/15 05:00)
他社との連携、思わぬ刺激
(総合1から続く)大学に入学する前から地震に興味を持っていました。中学から高校まで千葉市の幕張に通学していたため、避難訓練などを通じて液状化のリスクを意識するようになりました。
研究者になるきっかけは東京理科大学理工学部4年生の時。大学院の研究室を調べる中で「長周期地震動」というテーマを知ったこと、また企業に勤めながら博士号を取得する「社会人博士」制度を先生に教えてもらい、2018年に東京理科大学大学院博士後期課程を修了しました。
これまで学んだことは今の仕事にリンクしますが、最先端の研究成果や知見を実務に生かせるとは限りません。耐震性の確保とコストとの折り合いなど、顧客の要望や設計者の考えとバランスを取りながら対応することが必要です。合理的な答えを導き出すため、時間をかけて取り組むよう心がけています。
現場の肌感覚も大切にしています。それを痛感したのが16年の熊本地震。現地調査に赴いた時、テレビニュースなどで得た情報と目の前の被害状況に大きな違いがあることを思い知らされました。私がボランティアではないと知った地元の方のがっかりした表情も忘れられません。研究や調査で被害の軽減に少しでも役に立てたら、と身の引き締まる思いでした。
将来は地震や防災に関してオープンイノベーションの研究にもっと取り組んでみたい。すでに一部の作業でスタートアップと連携しており、想像もしないような提案を受け刺激になっています。異業種・異分野の人たちとの関わりは、研究のスピードアップにもつながると感じます。
休日は夫と猫2匹と穏やかに過ごすことが多いです。たまにプレーするゴルフもストレス発散になります。(文=編集委員・古谷一樹、写真=冨家邦裕)
◇清水建設 技術研究所安全安心技術センター地盤震動グループ 小穴温子(おあな・あつこ)さん
(2024/1/15 05:00)