(2024/3/26 12:00)
名古屋市信用保証協会が職員の働き方や子育て、健康面の改善、向上策を繰り出している。2021年1月に持続可能な開発目標(SDGs)宣言、同4月に女性活躍・子育て支援プログラムを策定。時差出勤制度やメンター制度の導入、子育て支援策全般や管理職向けには特に男性職員の利用促進のための手引も作成した。保証協会の業務はコロナ禍を経て高度化が求められており、働き方改革の面からも支えようとしている。
全国の信用保証協会は、コロナ禍対策として打ち出された実質無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資で業務が急増した。名古屋市信用保証協会も「申請書類の入った段ボール箱がもう協会内にいっぱい。皆必死だった」と宮村喜明会長は振り返る。同協会の働き方改革や健康経営は、これをきっかけに大きく前進した。
トップの宮村会長は当時の必死さを「次にどうつないでいくか」と捉えた。21年のSDGs宣言に始まり、22年には経営理念を改正。全役職員が健康で幸せを実感できる「健康・幸せ経営」を明確に掲げた。女性活躍・子育て支援プログラムも21年に改定。さまざまな改革を指し、総務部の大野勇次長は「21年はターニングポイントだった」と話す。
同年には時差出勤制度を改定。9時―17時15分が基本の就業時間だが、8時から10時までの30分刻みで始業をずらせるようにした。新型コロナウイルス感染症の拡大抑止のための暫定策として20年に始めていたが、21年に恒久化。「コロナ禍前は必要だと想像もつかなかった。子育てに介護にと、ライフスタイルの違いがあり、やってみたら良いじゃないか」(大野次長)との発見もあった。
直属上司ではない職員が相談に乗るメンター制度は、採用(入協)3年目までの職員向けの「バンビメンター制度」、役職者を目指す時期の女性に対し、女性の管理職職員をメンターとする「女性活躍メンター制度」をそれぞれ創設した。
子育て支援には、子育て支援策全般をまとめた「子育て支援ハンドブック」を作成(現行は22年版)。それまでは職員が問い合わせを受けてから回答しており「体系的に見せられるものはなかった」(大野次長)。さらに男性職員が子育てに参加しやすいよう「〝イクボス〟ガイドブック」を作成。公的な制度から同協会の制度まで利用できるものを紹介しており、管理職が男性職員と面談しやすいようにした。育児休業を取得すると給与は支給されないが、雇用保険から給与の約7割が支給され、社会保険料を払わなくてすむ。ハンドブックには「取得前と比べ収入は激減しないモデルケースを盛り込んである。『お金のことは心配しなくていいんだよ』というメッセージ」(同)との細やかな工夫まである。
もともと愛知県は優良大企業が多く、加えて県庁や市役所などの人気も高い。貴重な人材である職員が納得して働ける取り組みを常に考える。
(2024/3/26 12:00)
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