(2024/4/30 05:00)
政府・日銀が29日、円買い・ドル売りの為替介入を実施した可能性が市場関係者に指摘されている。同日の外国為替市場の円相場は一時、1ドル=160円台まで円安が進行した後、一気に5円以上の円高となる同154円台まで円が買い戻される局面があった。政府・日銀が行き過ぎた円安に適切に対応したのなら評価したい。ただ為替介入は時間稼ぎに過ぎない。米連邦準備制度理事会(FRB)は30日からの会合で政策金利を据え置く見通しだ。円安が再加速する可能性があり、警戒したい。
日銀が26日の金融政策決定会合で、金融政策を据え置いたことで円安が加速していた。先週末の外国為替市場は1ドル=158円台と約34年ぶりの円安水準で推移し、29日も同160円台まで円安が加速した。だが同日午後には一時、同154円台まで急速に円が買い戻された。
政府・日銀が為替介入を実施した可能性があり、そうであれば、行き過ぎた円安を許容しない意志を市場に伝えたと評価できる。ただ2022年9月に24年ぶりに行った円買い・ドル売り介入の効果が、数日に過ぎなかったことにも留意したい。
日銀は26日の会合で、政策金利を0―0・1%に据え置き、毎月の長期国債購入額も維持することを決めていた。一方、米FRBは堅調な米国経済を背景に利下げ観測が後退しており、日米の金利差が意識されてドルが買われやすい状態にある。中東情勢の緊迫化もドル買いを招く。米FRBは30日から始まる会合でも利下げを見送る見通しで、再び円安が進みかねない。
17日に初開催された日米韓財務相会合では、急激な円安による日本の懸念が認識され、為替介入の布石を打ったとも映る。だがイエレン米財務長官は、足元のドル高は米国経済の強さと金利水準を反映したものと捉えており、為替介入は「まれな状況でのみ容認される」と政府・日銀をけん制していた。政府・日銀による介入がどこまで許されるのか、行方を注視したい。
日本は中長期的には成長投資を推進し、稼ぐ力を引き上げることで円の購買力を高めたい。
(2024/4/30 05:00)