(2024/8/7 12:00)
放電加工機大手のソディックは、パックご飯(包装米飯)を製造する無菌包装米飯製造システムでも高いシェアを握る。中でも特徴は独自の加圧殺菌技術。コメ本来の甘みを引き出し、ふっくらと炊き上げることができる。同社はこの技術を磨き、事業の可能性を広げ続けている。
無菌包装米飯製造システムは、高温加熱処理などにより無菌化したコメを炊飯し、クリーンルームで密封包装する。顧客により差はあるが、殺菌工程では加圧加熱殺菌装置で約145度Cの高温飽和水蒸気をコメに当て、約40秒で高度に殺菌する。ごく短時間で処理するため食材の劣化が少なく、おいしさを保つことができる。
また同社は洗米や殺菌、炊飯、パッケージング、箱詰めまで120メートルにも及ぶ製造ラインを「一括して請け負いフルターンキーで納められるのも強みになっている」(神野久彦執行役員)。
同社は無菌包装米飯製造工程で密封包装したコメを、レトルト釜でさらに加圧加熱殺菌する「ハイブリッド殺菌方式」を採用したシステムも開発。常温での長期保存性に優れたパックご飯を製造でき、1月までに韓国食品産業大手のHARIM(ハリム)グループから同システムを約20億円で受注した。
さらにソディックは小麦を原料に動物性食品を再現した肉様食品「プラントベースフード(PBF)」の商品化にも乗り出した。無菌包装米飯製造システムで培った高温飽和蒸気殺菌技術などを応用。小麦由来のたんぱく質を一体化して成形する特殊加熱装置を開発し、肉本来の柔らかさや肉汁の感覚を再現した。6月からPBFを「フラカルネ」として飲食業者や食品加工メーカーに営業を開始。今後は欧米市場にも輸出し、2028年に売上高20億円を目指す。
こうした殺菌技術に磨きをかけ、食品機械事業を拡大してきたソディック。設備投資の動向に左右される機械だけでなく、食品市場への参入は経営の安定化が期待され、神野執行役員は「ぜひとも積極的に取り組みたい」と意欲を示す。
(2024/8/7 12:00)
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