(2024/8/7 12:00)
飯田製作所(横浜市泉区、野渡透一社長)は、福島第1、第2工場(福島県本宮市)で各種プラスチック精密部品を成形から切削加工まで一貫生産している。品質の高さに加え、少量から量産までユーザーの要望に全て応える生産体制を整えている。市場ニーズに対応し切削加工から射出成形、圧縮成形へと事業を拡大。自動車部品、建設機械部品から半導体装置、医療、航空・宇宙といった高品質・精密を要求される分野に事業を広げる。
高品質の背景には自動化の進化がある。福島県で生産を開始して40年。自動車の樹脂部品に切り込みを入れる工程で多く発生したトラブルについて、発注各社からの指導と自社考案の設備による自動化を進めた結果、トラブルはほぼ発生しなくなった。包装も自動化。「高品質が求められる量産品の生産を任せていただけるのは、当社の高い生産技術力の表れ」(野渡社長)と自信を見せる。
取り扱う樹脂の90%はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)。成形部材を切削加工し仕上げる。複雑形状が得意。自動車部品が50%程度、建機部品が30%、半導体製造装置向けが十数%になる。
福島第2工場で切削加工を手がけており、数値制御(NC)旋盤120台、マシニングセンター(MC)は5軸も含め6台導入している。NC旋盤はMCの役目も一部こなして量産体制を支える。
またポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂でも複雑形状を精度良く加工可能。半導体装置や航空・宇宙分野の大型ベアリングなどの需要増を見込んでいる。
さらに樹脂の成形分野にも本格参入。福島第1工場に住友重機械工業製の450度Cの高温射出成形機を導入し、PEEK樹脂などの成形を進めていく。本宮市内の医療機器メーカーからエンジニアリングプラスチック射出成形機2台と金型加工の放電加工機、MCを譲り受け、搬送ロボットも配置した。医療機器やカメラ部品の成形と加工を開始し、耐圧・耐熱性のある高級機器も手がける。「第2工場では圧縮成形機の導入も検討しており、PTFEなどの一貫生産を実現していく」(野渡社長)。
デジタル変革(DX)に向け、ドイツの樹脂メーカーから製品整列や着脱などで活用する教育用ロボットを7月に導入。ロボットを動かしながら学ぶ生産技術教育を開始した。170人の社員にロボットを使うスキルを身に付けさせ、一貫生産体制を充実させる。
(2024/8/7 12:00)
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