社説/自公の過半数割れ 安定的な「政権枠組み」を早期に

(2024/10/29 05:00)

自公両党の衆議院の議席が過半数を割った。政権維持には一部野党との連立や閣外協力・部分連合に動く必要があり、政局の焦点は「政権の枠組み」に移る。国内政治の混乱を抑え、自公の政策を遂行できる安定基盤を早期に構築してもらいたい。

ただ来夏の参院選を見据え、自公と距離を置く野党の思惑も見え隠れする。首相指名選挙を行う特別国会が召集されるまで、立憲民主党と繰り広げる多数派工作の行方を注視したい。

自公両党の衆議院の議席は計215で、過半数の233議席に及ばない。日本維新の会の38議席か国民民主党の28議席が加われば過半数となる。維新の会と国民民主は政策本位を掲げ、他党への協力を否定しない。自公は、自民党非公認議員の追加公認や、部分連合などの可能性を探り、政策の実行力を高めることが求められる。経団連の十倉雅和会長も「自民党・公明党を中心とする安定的な政治態勢の構築」を求め、政策本位の政治に「期待する」としている。

ただ、野党との閣外協力や部分連合により、政策立案に一定の制約を受ける。2024年度補正予算案(経済対策)や25年度政府予算案を通しにくい。野党は衆院選で景気配慮の公約を掲げており、日銀が利上げに動きにくい状況も懸念される。

少数与党となれば、野党協力なしに政策を遂行するのが難しい。だが、なぜそういう事態に陥ったのか。石破茂首相は政治改革を強力に進め、党の信頼を取り戻すのはもとより、野党と連携しつつも、経済政策の最適解を追求し続けてほしい。

立憲民主党は大きく議席を伸ばし、政権交代への歩みを進めた。だが野党は衆院選で共闘できず、首相指名選挙の行方は不透明だ。野党各党は安全保障や原発政策、消費税などの考え方で相違があり、国民民主も立憲民主との連立には慎重である。

1993年に発足した、自民・共産両党を除く8党派の細川護熙(もりひろ)内閣は、政策の違いなどから9カ月の短命に終わった。自公、立憲民主とも数合わせの合従連衡に陥らず、政策本位で政治基盤を強化してほしい。

(2024/10/29 05:00)

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