(2024/12/4 05:00)
石破茂首相は、通常の正社員より労働時間が短い「短時間正社員」制度の活用を促す方針だ。非正規雇用の正規化や、仕事と育児・介護の両立(ワーク・ライフ・バランス)などを推進することで、人手不足対策や賃金底上げにつなげる狙いとみられる。労働市場が全国的に活性化すれば、首相肝いりの地方創生にも資する。ただ同制度の導入企業は2割に満たない。企業が人材確保の新たな選択肢と捉えるのか行方を注視したい。
石破首相は11月29日の所信表明演説で働き方改革にも言及。魅力ある働き方・職場を実現する対策の一つとして、「短時間正社員という働き方も大いに活用すべき」だと訴えた。翌30日に地元・鳥取県で行った講演でも、繰り返し強調していた。
短時間正社員はフルタイム正社員と比較し、1週間の所定労働時間が短い正社員。期間の定めのない労働契約を締結し、時間当たりの基本給・賞与・退職金などの算定方法がフルタイム正社員と同等になる。「時間に余裕を持ちながら、正社員としての待遇を得る」(石破首相)ことで、処遇改善のほかキャリアアップ、さらに育児・介護との両立、高齢者の労働参加などが促される。非正規雇用の正規化にとどまらず、多様な働き方に道を開く制度と期待される。
企業側も、能力がありながら長時間働けない人材の確保と定着につながり、生産性を向上させる効果を見込めよう。
だが厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、短時間正社員制度を導入している事業所の割合は2022年度で17%に過ぎない。同制度のほか、勤務地限定正社員や職種・職務限定正社員を含む「多様な正社員」でも導入割合は23・5%にとどまっているのが実情だ。これらの数値をいかに引き上げていくのか、石破政権が企業への呼びかけにとどまらず、具体的な施策を打ち出すかを注視したい。
厚労省は、非正規雇用者から「多様な正社員」への転換には「キャリアアップ助成金」を支給し、企業を支援している。こうした助成金も周知しつつ、機運醸成への施策を模索したい。
(2024/12/4 05:00)
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