[ 機械 ]
(2017/4/24 05:00)
IHIは2020年以降の商用化を目指す二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プラントについて、事業化調査(FS)と基本設計(FEED)に着手する。CCSは大量にCO2を発生する石炭火力発電所の切り札として期待される。地球温暖化防止対策の新たな国際枠組み「パリ協定」が発効し、国内では石炭火力の新設を中止するケースも出ている。IHIはCCSの実用化を加速し、石炭火力の環境負荷低減を後押ししていく。
■石炭火力発電の切り札に
IHIは燃焼後の排ガスから吸収液を用いて化学的にCO2を回収する「化学吸収技術」の確立を目指す。吸収液や反応システムなどの開発を進め、CO2の分離に必要なエネルギーを従来技術に比べ半減させる。
同社は商用機の開発を念頭に置き、相生工場(兵庫県相生市)や豪州で実証実験を行っている。豪州ではビクトリア州の石炭火力発電所に実証プラントを整備。1年かけて計画運転時間の5000時間に到達した。
2017年度にさらに5000時間の運転を実施し、ここで得た知見や技術をベースに商用機を開発する。豪州の実証機は日量0・5トンのCO2を回収できるが、商用機は同2000トンクラスを想定。初号機は豪州や北米、日本などでの建設を視野に入れる。
吸収液にはアミンなどアルカリ性水溶液を用いる。排ガスとアミンを吸収塔で接触させ、アミンにCO2を溶け込ませる。これを放散塔で100度―120度Cで加熱すると、99・9%以上の高濃度CO2を回収できる仕組みだ。
政府は30年ごろまでに、石炭火力発電所へCCSを適用する方針を掲げる。IHIは化学吸収技術のほか、燃焼用空気から窒素を分離し、燃焼排ガスからCO2を直接回収する「酸素燃焼方式」の実用化も並行して推進。また、東芝などは福岡県の石炭火力発電所でCCSの実証設備を整備しているほか、電源開発は広島県で実証する計画を進めている。
(2017/4/24 05:00)
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