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ハミガキの組成開発期間を約半分に短縮 データサイエンスと研究員の知見を融合した新たな実験手法を確立

(2023/6/13)

カテゴリ:商品サービス

リリース発行企業:ライオン株式会社

ハミガキの組成開発期間を約半分に短縮  データサイエンスと研究員の知見を融合した新たな実験手法を確立

ライオン株式会社(代表取締役社長・竹森 征之)は、デジタル技術を活用し、研究開発における生産性の向上に取り組んでいます(※1)。この度、製品の組成開発での活用を目的に、マテリアルズインフォマティクス(MI)(※2)を用い、当社研究員の知見を取り入れたデータ駆動型(※3)の実験計画手法を新たに確立し運用を開始しました。本手法をハミガキの組成開発に応用したところ、実験回数を大幅に削減し、想定の約半分の期間で開発できたことから、今後の研究開発のスピードアップが期待されます。この研究内容は、第37回人工知能学会全国大会(2023年6月6日(火)~9日(金))にて発表しています。 ※1 ライオンと日立がDXで製品開発時間を短縮 ハミガキの製造プロセス上の課題を事前予測し、最適組成を自動提案するシステムを開発https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/8064/20220420.pdf ※2 機械学習などの情報科学の技術を用いて、組成・材料開発の効率化を図る技術のこと ※3 データを元に次のアクションを決めたり意思決定をすること



■ 研究の背景
 近年、生活者が製品に求める品質は多様化・高度化しており、生活者ニーズに寄り添った品質の高い製品を開発するためには、組成開発やプロセス開発(※4)において生産性を高めることが求められています。当社では、これまでにMIを活用してプロセス開発における検討期間を短縮化するシステム(※1)を開発しています。
 一方、組成開発では、従来、膨大な組み合わせの中から、研究データや研究員の知見に基づいて候補となる組成を考案し、実験を繰り返すことで、目標を満たす組成を絞り込んでいました。しかし、新規成分の配合や品質項目の追加を伴うような開発テーマの場合、検討の初期段階では研究データが不足しているため、一定の検討期間を要していました。
 そこでこの度、MIの専門知識を持つ人材を育成し、当社の主幹事業であるハミガキの組成開発に活用できる実験計画手法を独自に確立することで、研究開発の生産性向上に取り組みました。

※4 研究所において少量での配合により開発した組成を、工場の大型機器で大量に配合できるよう最適な条件を開発すること

■ 研究内容
 ハミガキの組成開発においては、香味や泡立ち、ペーストの固さや滑らかさなどの使用感の良さや、むし歯や歯周病を予防する機能など、複数の目標を同時に満たすことが必要となります。
 そこで本研究では、限られた既知データを起点に組成探索が可能な機械学習手法である「ベイズ最適化」に、研究員の知見を効果的に取り入れることで、より少ない実験回数で複数の目標を満たすことが出来る実験計画手法を確立しました(図1)。

               図1 ベイズ最適化を用いたハミガキ開発の手順

■ 研究結果
 上記の実験計画手法を用いて、ハミガキの固さと滑らかさの物性指標である粘度と弾性率の最適組成を探索しました。その結果、サンプルは100回以上作製することも珍しくない中、16回の作製で目標を満たす組成を導き出すことができ(図2)、本手法に伴う追加工程を含めても想定の約半分の期間での組成開発を実現しました。
 今後は、ハミガキだけでなく、様々な製品の組成開発にも本手法を応用していく予定です。

                  図2 本手法によるハミガキ組成の探索過程

本研究結果について、下記の通り発表しました。


 当社は、本研究で確立した実験計画手法の運用をはじめとしたデジタル技術の活用により、製品開発の生産性向上を図り、創出された時間を生活者のニーズ探索やそれに基づく技術・製品開発などに活用することで、新たな価値を創造して参ります。
                                                以 上

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