[ その他 ]
(2016/1/15 05:00)
ビジネスマンにとって取引先との会話は大切な潤滑油。書店にも会話術やコミュニケーションスキルの本が所狭しと並ぶ。出版不況の中でもこの種の本が減らないのは、話が盛り上がらずに悩む人が多いことのあらわれか▼相手と話がかみ合わなかった時に、同じ言葉でも互いにイメージしているものが全く違っていることがある。金融とITの融合を指す「フィンテック」は、そうした誤解を生む言葉の最たるものではないだろうか▼人工知能や電子決済、クラウドファンディングから顧客対応のロボット、スマートフォンのアプリまで。「御社はフィンテックに力を入れているそうで」と投げかけたところで、相手も返答に困ってしまう▼昨今の金融各社のニュースリリースは「フィンテック」の大安売りだ。金融庁が発破をかけているせいもあるだろう。大手銀行幹部は「2015年は『フィンテック』という言葉が認知された年。いわば前哨戦。今年が勝負だ」と語る▼メーカーなら「技術重視」は当然。その上で、自社の強みを顧客に知ってもらう必要がある。金融界でも、取引先が具体的なイメージを思い浮かべられるようなサービスが生まれなければ、フィンテックが定着したとはいえまい。
(2016/1/15 05:00)