[ その他 ]
(2016/1/18 05:00)
世界遺産は重要な観光資源と同時に地域活性化の起爆剤だ。昨年は「明治日本の産業革命遺産」として、稼働中の工場を含む産業遺産が認められたことは記憶に新しい▼登録が決まれば地元は大いに盛り上がる。ところが「その後の管理が十分でない」と注文をつけたのが総務省。行政評価の一環として「明治日本〜」以外の文化遺産を調査し、文化庁と環境省に適切な運営を勧告した▼それによれば、登録重要文化財に落書き等がありながら把握していなかったのが14件。他にも史跡内で建築物が増えていたり、国定公園内の自動販売機を無許可で設置したりした事例が複数あったという▼全体的な管理は「おおむね良好」というから単なる不注意もあるだろう。ただ今後も世界遺産が増え続ければ維持はそれだけ難しくなる。特に広い範囲に点在する文化遺産を一括登録する方式では、それぞれの地元にも相応の注意が求められよう▼これまで日本で登録されたのは文化遺産15、自然遺産4の計19。今年は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」、来年には「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの審査を受ける。数を増やすだけでなく、後世にしっかり伝えてこそ“遺産”である。
(2016/1/18 05:00)