[ オピニオン ]
(2016/2/23 05:00)
わが国を代表するモノづくりの街・北九州市が、国家戦略特区を核とした新たな挑戦に乗り出した。企業集積の強みを生かしたロボット技術を高齢化対策や介護に結びつけ、新ビジネスを生み出そうという試みだ。
北九州市は特区の3次募集に応募し、1月末に「北九州市スマートシティ創造特区」の指定を受けた。介護現場でのロボット活用という実需に踏み込んだ内容が特徴だ。市内には安川電機とTOTOが本社を構え、中小・ベンチャー企業の多くがロボット開発を進めている。これらを活用し、2016年度以降の介護ロボットの実用化を目指している。
同市は65歳以上の高齢者比率が約28・5%と、政令指定都市で最も高い。大都市にもかかわらず、産業構造の変化と少子・高齢化の進展による人口減少が止まらない。
このまま高齢化が進み、要介護者に対して介護者が足りなくなった場合、その役割を外国人に頼るのか、それともロボットに頼るのか。この問いかけに”ロボットの街“を掲げる同市が答えを出そうとしている。
また同市は従来から産学連携にも熱心だ。この面でも九州工業大学や産業医科大学、九州歯科大学などと連携し、介護ニーズとロボット技術のシーズのマッチングを図るとしている。
市は16年度に、現在の「新成長戦略」を改訂した5カ年計画を立ち上げる。特区と連動したプロジェクトを盛り込むことで、ロボットと介護を柱とした地方再生モデルを実現する考えだ。
ロボットが今すぐ人手に取って代わることは考えにくい。しかし介護のように人にしかできない重労働の支援ツールになることは確実といえる。安全で安価なロボットが生み出せれば、介護現場への導入は急速に進むだろう。
九州では福岡市も国家戦略特区の指定を受けている。政府の国家戦略特別区域諮問会議で、民間議員の竹中平蔵慶応義塾大学教授は「北九州は、福岡といい意味で競争してもらいたい」と述べている。北九州の挑戦を、地域を越えた産業活性化につなげてほしい。
(2016/2/23 05:00)
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