[ オピニオン ]
(2016/3/1 05:00)
2016年の就職戦線がスタートした。1日の会社説明会解禁を皮切りに17年春卒業予定の大学3年生の採用活動が本格化する。昨年の大混乱を反省して今年は沈静化することを望む。同時に新卒一括採用の是非を含めた本質的改革も忘れてはならない。
経団連の指針見直しによって日程を変更した昨年の就職戦線は、大きく揺れた。面接などの選考活動時期を4カ月間後ろ倒ししたものの、優秀な学生に逃げられることを恐れて指針を守らない企業が続出。経団連非加盟の外資系や中小企業だけでなく、一部の大手企業も内密に採用を早めるなど不公平感が残る結果となった。
採用活動後の経団連の調査では「学生に悪い影響があった」という企業が96・2%に達した。また87・9%が「自社の採用選考活動にも悪い影響があった」、87・5%が「指針のスケジュールが順守されていない」と回答するなど、日程変更がうまく機能しなかったことが浮き彫りになった。
企業と大学双方の批判を受け、経団連は選考活動解禁日を2カ月間前倒した6月に再度変更、問題の沈静化を目指す。しかし、まだ不安要因は残っている。就活に前のめりになる企業が増える懸念があるからだ。
リクルートキャリア(東京都千代田区)がまとめた今年の就職活動に関する調査では、面接開始を「4月」にする企業が33・9%で最も多かった。また67・9%が解禁前に面接活動を開始すると回答している。さらに「内々定・内定を5月までに出す」としている企業は44・1%に達する。”抜け駆け“が常態化する流れは今年も変わっていない。
就職戦線の混乱が今年も続くようだと、日程変更だけでは対処できなくなる。新卒一括採用という制度自体の見直しを迫られよう。
新卒一括採用は日本特有の制度だが、これは大量生産・大量消費時代に合致したもの。通年採用や国籍・性別を問わない多様性の確保が求められる現在、採用活動も一括ではすまされない。今年の就職戦線では、現行の採用方式の是非が問われることになる。
(2016/3/1 05:00)
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