[ その他 ]
(2016/3/11 05:00)
10年、20年先、被災地はどんな姿をみせるのだろうか―。東日本大震災から5年。復興は道半ばである。ただ津波被害が大きかった被災地の表情は、ずいぶん変わった▼宮城県北東部の南三陸町。中心部に高さ10メートルほどの盛り土の山が連なり、新しい街づくりのただ中にある。とはいえ沿岸部の被災自治体はどこも人口流出に悩まされている。将来の担い手がいなければ本質的な再生はおぼつかない▼沿岸部の国道沿いの食堂は、昼食時とあって作業服姿の人で混み合っていた。聞くと地元の人は少なく、震災前と客層が変化しているという。復興工事もいずれ終わりを迎える。その先、どうやってにぎわいを維持するのか。工夫が求められる▼地域にはそれぞれ持ち味がある。過去の資産も生かせる。基幹となる水産業はもちろん、中小企業のモノづくりの力も欠かせない。今はまだ他の地方の背中を追いかけている観光産業も勢いづけたい。しなやかでバランスのとれた産業構造が必要になる▼自治体による明確なグランドデザインがほしい。地場企業も自らへの期待と使命を再認識し、努力を重ねなければならない。魅力ある街づくりと自立型の産業復興。あすに向けた知恵と行動が大事だ。
(2016/3/11 05:00)