[ その他 ]
(2016/4/12 05:00)
傑出したリーダーほど、退いた後の混乱が懸念される。セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんの退任は同社の今後に影を落とす。我が身を振り返り、自社の先行きを考えた企業トップもいるのではないだろうか▼鈴木さんの功績は、改めて詳細に述べるまでもない。コンビニエンスストアという業態を導入し、販売時点情報管理(POS)を活用して世界に類をみない高度なサービスを生み出した。日本型コンビニの創始者であり、消費者目線で未来に向けて挑戦し続けてきた▼企業人として考えた時には、高齢までトップを続け、一貫して自らがけん引力であったことが特筆される。常に「ワンマン」や「カリスマ」という言葉とともに語られる経営者である▼ワンマン必ずしも悪からず。近年の産業界では中堅・中小企業を含めて、リーダーシップの強い経営者が優れた業績をあげた例が少なくない。そうした企業の中に、後継問題に悩むケースが少なくないことも、また事実だろう▼後継者が安定した業績をあげて初めて、前任者の真の評価が固まる。カリスマなき後に企業が失速しないよう、早い段階から最善の策を練りたい。鈴木さんの退任に、その備えはあったろうか。
(2016/4/12 05:00)