[ オピニオン ]
(2016/4/27 05:00)
経団連、日本商工会議所と並ぶ経済3団体の一角、経済同友会が誕生したのは1946年(昭21)4月30日。今年は創立70周年の節目となる。現体制を率いる小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)は、くしくもこの年に生まれた。内外の経済情勢が不透明な今こそ、時代を先取りした政策提言で存在感を発揮してきた同友会に期待が集まる。
28日の通常総会で就任2年目に入る小林代表幹事は、日本の戦後の次の時代を「ジャパン2・0」と形容する。グローバル化やIT化、ソーシャル化といった構造変化を踏まえた未来社会の具体像を、夏にも策定するビジョンで示す考えだ。企業活動の活性化のみならず、財政や社会保障が持続可能であり、国民各層が希望を見いだせる社会を目指すことになろう。
政府は毎年のように成長戦略を打ち出してきた。だが官僚の中から、既存のビジネスモデルを打ち破って新たな価値を生み出す「破壊的イノベーション」が出てくることは期待しがたい。新たな時代を切り開き、成長を実現するためには民間の大胆な発想力が欠かせない。
政権との関係でも、同友会の独自性や自由闊達(かったつ)さがもっと生かされるべきだろう。官邸主導が強まり、賃上げや設備投資などの経営判断にまで政権が口を挟むことには、産業界にも賛否両論がある。経団連が官邸との一体感を強めて成長戦略の着実な実現を図る一方で、経営者個人の立場で幅広い見地から問題提起する同友会の役割は重要さを増す。時の政権にあえて耳の痛い提言を発信し、社会的な議論を喚起すべきであり、それが改革の原動力となるはずだ。
70年前、新進気鋭の若手企業人有志83名が結集した同友会の設立趣意書にはこうある。「日本国民は旧き衣を脱ぎ捨て(中略)混乱の暴風を乗り切って全く新たなる天地を開拓しなければならない」。その志の先に戦後の復興と高度経済成長があった。そしていま、時代感覚に富む経営者の発想と、これを改革につなげていく推進力を日本は再び求めている。
(2016/4/27 05:00)
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