[ オピニオン ]
(2016/4/28 05:00)
行楽シーズンまっさかり。京都には例年以上に多くの外国人観光客の姿が見られ、社寺旧跡などの名所は大型連休でにぎわいを増す。
5月から楽しみな行事が始まる。「ゆか」と呼ばれる鴨川納涼床だ。市内を流れる鴨川沿い、二条大橋から五条大橋までの飲食店が、河川敷に高床式の席を設けて料理を供する人気の風物詩。川面を渡る心地よい風もあいまって風雅な気分に浸れる。
「料理はやっぱり懐石料理?」と聞かれる。ルーツは南北朝時代といわれる歴史ある行事なだけに、とりわけ観光客から見れば和のイメージが強いだろう。確かに四半世紀前、初めてお相伴にあずかったのは懐石だった。
今や焼き肉、フレンチ、イタリアン、中華、チョコレートとメニューは多様。近年はゆかで唯一のカフェ、シアトル系コーヒーチェーンの三条店で待ち合わせてから目当ての店に赴く“はしごゆか”がマイブームだ。顧客の好みに対応し、和洋中などの多様性を受け入れてきたことが外国人までも引きつけている。
3月期決算発表が本番を迎えた。電機をはじめ、成長を続ける京都企業は今年も堅調が予想される。その原動力のひとつである進取気鋭の精神は、ゆかという風物詩からも見て取れる。
(2016/4/28 05:00)